日本海初のメタンハイドレート確認 “次世代のエネルギー資源”に海外も注目

 日本の資源エネルギー庁は、メタンハイドレートの資源量把握に向けて、平成25年度から本格的な調査を実施している。今年度は、日本海側での調査で、「表層型」メタンハイドレートが存在する可能性が高い地形が746ヶ所確認された。「表層型」は海底の表面などに結晶状態で現れるものだ。回収が難しい地下深くの「砂層型」とは異なり、生産コストを抑えられるため、注目される。

 また日本海側で初めてメタンハイドレートを含む地質サンプルも採取された。

◆メタンハイドレートとは
 メタンハイドレートはメタンガスの凍った形で、深海部や永久凍土など「低温高圧」の条件下で見つかる。見た目が氷のようでもあり、「燃える氷」としても知られている。実際は、水分子が作るかご構造の中にメタンを閉じ込めた物質である(カナダの環境情報誌オルタナティブジャーナル)。

◆日本のメタンハイドレート
 日本は天然ガスや石油資源が不足しており、資源エネルギーの確保が大きな課題である。2001年以来、メタンハイドレートの研究に年間数億円を費やしてきた。資源エネルギー庁によると、「海洋基本計画」に基づき、平成25年度から27年度まで約3年間をかけて資源量把握のための調査を行うことになっている。

 すでに太平洋側にはその存在が確認され、最近は日本海側の海底の浅い層にその存在が確認された(表層型メタンハイドレート)。日本の国土周辺のメタンハイドレートの埋蔵量は日本の天然ガス需要100年分に相当すると推定されている(Kuwait News Agency)。

 日本は2030年までにはメタンハイドレートの商業目的の生産を開始する予定だ。ただし、掘削技術と費用が問題だ(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。シェールガス/オイルの掘削を可能にしたような、新たな技術開発がまたれる。

◆メタンハイドレートと地球温暖化
 なおオルタナティブジャーナルによると、研究チームが北極海から溶け出した二酸化炭素量を測定したところ、予想以上の濃度であったという。この原因として、地球温暖化により北極の永久凍土が溶け、その中に閉じ込められていたメタンハイドレートが不安定な状態になり、メタンガスが放出されていると考えられている。これが気候変動に与える影響は、二酸化炭素の20倍以上とされ、さらに地球温暖化を進める要因にもなっている。

 メタンは海底の孔や裂け目からも漏れる。近年北極海の海水温上昇により、メタンハイドレートが不安定な状態になり始めているともされる。

Text by NewSphere 編集部