“味覚鋭い日本人、なぜボジョレー好き?” 解禁報道に、海外読者がツッコミ

 ボジョレー・ヌーボーの解禁日は11月の第3木曜日。今年も世界各地で発売を祝うイベントが開かれている。いまどきのボジョレー・ヌーボー事情を、海外メディアが報じている。

◆もはや伝説?
 イギリスBBCは、かつてはイギリスの国家的イベントであったボジョレー・ヌーボー解禁も、今や「巨大な携帯電話、肩パッド、システム手帳に並ぶ、1980年代の伝説の一部」と化したと述べる。全盛期には、パリからロンドンまで、最初のボジョレー・ヌーボーを誰が一番に運んでくるかを競う「ボジョレー・ラン」なる競争も登場。飲食店や酒屋では試飲会が開かれ、1日中続くこともあるほど、盛況だったという。

 しかし、ワインの専門家、アン・マクヘール氏は、売り上げのピークは1980年代の後半で、「マーケティングとしては大成功だったが、90年代になって多くの生産者が参入したために、質が低下して人気が下降した」と述べる(BBC)。

 そんなイギリスにも異変が起きている。昨年のイギリスのヌーボー輸入量は2012年の2.5倍。BBCは、小売り大手マークス・アンド・スペンサーが、「カーボン・ニュートラル(環境における炭素量に対して中立)」バージョンを市場に投入したことで、再び消費者の関心が高まったのではと分析している。

 これを受け、「ブーム復活か」の問いに対し、マクヘール氏は「懐古主義的な一時的人気のようだ」と述べ、将来的トレンドにはならないと予測している(BBC)。

◆若さを楽しむワイン
 ボジョレー・ヌーボーの発酵に要する日数はわずか数日。ブドウの収穫からたった数週間で発売されるため、味に関しては評価が分かれるとAFPは述べている。

 生産者のクレア・サシュレイさんは、「今年のヌーボーの味は」という質問は、するべきではないとし、ボジョレー地区では2000の小規模生産者がそれぞれの味を作り出していると述べる。質は気にせず大量生産をしていたころ、ボジョレー・ヌーボーはバナナの香りがするとばかにされていたそうだが、現在はフルーティな香りで評判が高い。醸造家のファビアン・サシュレイさんは、ヌーボーは「生のワインで若くて元気いっぱい」だと、その素晴らしさを表現している(AFP)

◆日本は最大の輸出先
 AFPによれば、ボジョレー・ヌーボーはその40%が輸出向け。一番の顧客は日本で、昨年は790万本を輸出している。アメリカが180万本、ドイツが73万本なので、そのダントツぶりが分かる。

 「日本の顧客とスカイプで解禁を祝う」と述べるクレア・サシュレイさんは、ボジョレー・ヌーボーのご縁で、今や年間を通して商品を日本に輸出しているとうれしそうだ(AFP)。

 フランスのリビエラ・タイムズは、ボジョレー・ヌーボーは、日本ではすでに伝統だと述べ、箱根小涌園ユネッサンで毎年11月に開かれる、ボジョレー・ヌーボー風呂を紹介。1万3000リットルの湯に9リットルのヌーボーを注いで、その到着を祝うと伝えている。

 ちなみにユネッサンでは、衛生上の問題から、風呂の湯は口に含まないよう客に伝えているということだ。

◆日本は最大の輸出先
 ボジョレー・ヌーボーについて、Japan Todayの記事にコメントを寄せたほとんどの読者は、「まずい」と断言。日本での人気ぶりについては、

・とても素朴で好奇心からの質問なんだけど、フランス人自身含め大半の人がボジョレー・ヌーボーがひどいものだと知っているなら、どうして日本人はお祝いをするの?日本人だって素晴らしいワインや世界クラスのウイスキーを作ってて、鋭い味覚を持っているのに、なんであんなにひどいワインを愛せるの?

・日本人は、「初物」や「旬のもの」といった、その季節で最初のものや新鮮な食べ物・飲み物を好むんだ。じゃがいも、玉ねぎ、米、魚なんでもそうだよ。

・日本人は「自分が最初」と言うのが好きだから飲んでいる。

・この誇大広告の意味が全くわからない。ここには、もう既にたくさんの有名なワインがあるのに。

・日本のボジョレー・ヌーボーはフランスの3、4倍の値段がするって聞いたけどどうしてだろう?

・毎年この会話してるよね。去年は少数のボジョレー擁護者がいたけど、今年は見当たらないな。

といった意見が寄せられた。

 また、箱根小涌園ユネッサンのボジョレー・ヌーボー風呂に関しては、「この味のしない安物ワインの使い途としてはベストだ」「マーケティング万歳!」といった意見が見られた。

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Text by NewSphere 編集部