日本の外国人観光客数は韓国以下…カジノ解禁で、観光業は変われるか? 専門家が語るビジョンとは

 2020年、戦後日本で初めて、合法的なカジノができるかもしれない。過去、合法化が検討されながら、様々な問題のため実現できなかったカジノ。日本で数少ないカジノ専門家の木曽崇氏は、観光業の視点からメリットを明確にし、長期的な視点で考えるべきと語る。

◆メリットは?
 まずは、カジノ合法化によるビジネス面・観光面でのメリットを、『日本版カジノのすべて』を基に整理する。

 経済効果については、観光客のカジノ消費に付随し、飲食・宿泊などの消費が発生することを考慮する。アメリカでは、観光客によるギャンブル消費1単位から、ギャンブル以外の消費を含めると、1.4倍の直接消費が発生したと試算されている。

 さらに、カジノ施設運営事業者の仕入れによる「1次波及効果」、カジノで新たに生じた雇用者の消費という「2次波及効果」もある。これらを合わせると、約2.5倍となる。カジノがもたらす経済効果の大きさが伺える。

 他の観光地と比較し、カジノは季節・天候・時間帯に左右されにくい点もプラスとなる。実際、ラスベガスでのギャンブルを除いた観光消費金額は、ハワイやオーランド(ディズニー・ワールド・リゾート)のものを上回るのだ。

◆観光・コンテンツで「儲け」られるか?
 これまでの記事を踏まえ、NewSphere読者が、カジノ合法化をどのような視点で考えるべきか。木曽氏は、下記のように主張している。

 今、日本は大きな転換点にある。「日本は何で儲けるのか?」という根源的な問題に対し、バブル崩壊以降、答えが出ていないためだ。

 これまでは、「モノづくり」の国として走ってきた。しかし既に、製造拠点の海外移転が進み、雇用の中心はサービス業になっている。

 それなのに、観光業を始め、ソフトウェア・コンテンツの部分はあまり重視されてこなかった。実際、日本への観光客数は、韓国を下回る水準だ。日本の観光業は驚くほど立ち遅れているが、逆に、伸びしろも大きいと注目されている。

 1964年の東京五輪は、日本の工業化、高度経済成長期の始まりだった。2020年の東京五輪も、新たな次世代の産業、経済のあり方を決める機会とすべきだ。カジノも、その流れの中に位置づけられる。若手~中堅ビジネスパーソン(20~40代)は、6年後の大転換を見すえて、このテーマについて考えてほしい。

※参考書籍
日本版カジノのすべて(木曽崇)

Text by NewSphere 編集部