「日本経済発展の起爆剤」東京五輪から50年 現代に生きる“遺産”に海外注目

 1964年に開催された東京オリンピックから50年となることを記念して、トークショーや展示会など様々なイベントが都内で開催されている。

◆復興の象徴
 1964年10月10日、アジア初となる東京オリンピック・パラリンピックの開会式が、国立競技場で開催された。聖火ランナーを務めたのは、原爆が投下された1945年8月6日に広島で生まれた坂井義則さんだった。競技場の階段を駆け上る、ほっそりした19歳の若者は、第二次世界大戦の甚大な被害から立ち直った日本の生きた象徴だった、と『Inside the Game』は伝えている。

◆素晴らしいオリンピック
 1964年の東京五輪は大成功だった、とウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は評している。日本は、16個の金メダル、5個の銀メダル、8個の銅メダルを獲得し、メダル獲得数で米ソにつぐ3位となった。

 APによると、当時の雰囲気について、オーストラリアの水泳女子100m自由形金メダリストのドーン・フレーザー選手は、「オーケー、太平洋戦争のことは忘れよう」という感じだったと語っている。「日本は素晴らしいオリンピックを世界に見せようと努力して、成功した」とも述べている。

 同選手は、自動車事故で母親を失い、自身も重傷を負っていた。東京五輪は、悲しみを乗り越える助けにもなったという。「日本人は本当に良くしてくれて、自分の家にいるかのようにくつろがせてくれた」と思い出を語っている。

◆オリンピックの遺産
 東京五輪に合わせて整備された、新幹線や高速道路等のインフラは、半世紀後の今日まで残る“遺産”となった。これらは、その後の日本経済発展の起爆剤の役目も果たした。

 1964年の東京五輪では、合計30の施設が使用された。代々木国立競技場などは、2020年の東京五輪でも使用される予定だという。

“遺産”は、2020年東京五輪の低コスト化にも貢献している。スタンダード&プアーズによると、2008年の北京は400億ドル、2012年のロンドンは140億ドル、2016年のリオデジャネイロは推計144億ドルの費用が掛かる。一方、2020年東京の予算は126億ドル(7730億円)と見込まれている。

“遺産”は、インフラなどハード面だけではない、と国際オリンピック委員会は指摘する。1964年東京五輪で日本選手が活躍した結果、スポーツクラブ・施設が多数建設され、日本中にスポーツを広めるうえで重要な役割を果たした。子供からお年寄りに至るまで多くの年齢層が定期的にスポーツを楽しむことが可能になった。

 今年77歳のフレーザー選手は2020年東京オリンピックを心待ちにしている、とAPは結んでいる。「東京が開催するオリンピックは素晴らしいものとなるだろう。生きて、この目で見たい」。
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Text by NewSphere 編集部