イルカの「虐殺」…太地町の追い込み漁解禁で、海外メディアが一斉非難

 和歌山県太地町のイルカ追い込み漁が解禁し、16日、今季初の漁獲があった。現地で監視活動を続けている反捕鯨団体シーシェパードは、Twitterやライブ配信映像で「最初のイルカたちの殺害が完了した」などと伝えた。海外各紙も一斉に報じている。

【シーシェパードは「虐殺」と非難】
 シーシェパードは、「@CoveGuardians」のアカウントでTwitterに経過を投稿。16日午前10時33分に「2014-15シーズンの最初の群れが今、入江に追い込まれた」とツイートし、約1時間後には「死体が太地の屠殺場に引きずり込まれ、追い込み漁シーズンの最初のイルカたちの殺害が完了した」と投稿した(AFP)。

 ジャパン・タイムズの報道によれば、太地町漁協は12頭の漁獲があったと発表した。シーシェパードは、「幼獣を含む8、9頭が虐殺された」としている。6ヶ月間の漁期は9月1日に解禁したが、悪天候の影響で漁の初日がこの日にずれこんだ。

【港や入江を防水シートで覆う】
 英紙インディペンデントによると、太地港の入り口や入江の一部には防水シートが張り巡らされたという。活動家たちは、「(イルカ漁師たちは)自分たちがやっている事を誰にも見られたくないからだ」と主張する。

 中国系の女性活動家は、中国紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』に「言葉に言い表せられないほど失望している。今年も、防水シートの後ろに隠れて野蛮で残虐な方法が続けられている」と批判のコメントを寄せた。シーシェパードはライブ配信映像の中で、シートで覆ったことを指して「彼らは、この行動がどれほど恥ずべきことなのかを自覚している。詮索の目から全てを覆い隠したいのだ」などとレポートした(インディペンデント)。

【欧米各紙は擁護派の意見も取り上げているが・・・】
 各紙は、太地町のイルカ追い込み漁を批判的に取り上げたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』(2009年)が、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したことを強調する。ワシントン・ポスト紙(WP)はキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使が今年1月、「イルカの追い込み漁の非人道性に深い関心を持っている」と発言したことも取り上げている。

 一方、各メディアは、日本政府を含む擁護派からは、「西洋の見方は偽善的であり、ずっと多くの牛、豚、羊が人々の需要を満たすために屠殺されている」(AFP)、「追い込み漁は伝統的なものであり、対象になっているイルカは絶滅危惧種ではない」(インディペンデント)、「違法性はない」(ワシントン・ポスト)といった反論が出ていることにもふれてはいる。

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Text by NewSphere 編集部