タイ代理出産、世界貢献のため? 父親疑惑の男性の発言、海外メディア報道

 タイの代理母に少なくとも12人の子供を出産させた日本人男性(24歳)の弁護士は18日、男性が父親であることを証明するため、DNA鑑定に必要な材料をタイ警察に提出した。

 2週間前、バンコク市内の代理出産の施設への手入れで、警察に保護された9人の赤ん坊は現在孤児院に預けられている。今後どう育てられえるのかは未定のようだ。父親が同じ日本人だとされるこの赤ん坊たちの卵子提供者は、オーストラリア、アメリカ、スウェーデン、中国、スペイン、ブラジル、マレーシア、イスラエルなど多国籍だとの報道もある。

 前代未聞の事件の真相を海外各紙が推測している。

【目的は何なのか?】
 男性の代理人は、彼は容疑を晴らしたいと思っていると述べた。「DNAサンプルを提出した。真実を知ってほしいと考えているからだ」(ロイター)。代理人は、日本人男性がタイに戻ったかなど所在は、知らないが、DNAサンプルは、日本から届いたと説明している。

 国際刑事警察機構(インターポール)タイ支部の所長は、「日本人男性は、金持ちで彼の父親から多くの金を譲り受けた、という情報を持っている」(ロイター)と話した。また警察は、代理出産は人身売買目的ではないとみているようだ。

 バンコクの代理出産の施設責任者は、「一度サービスを提供したら、どんどん多くの出産を要求した」(バンコク・ポスト紙)と地元紙に話している。しかし年齢的に要求が疑わしく感じたため、サービスの提供をやめ、インターポール、BBC、CNN、日本大使館に知らせたという。

 ガーディアン紙は、男性が日本の選挙で投票数を増やし勝つため大家族を作りたいのだ、と答えたと伝えているが、どうにも不可解な事件だとの扱いだ。また、商業的代理出産を認めるタイの法律と、人身売買に子供が利用される危険性について、疑問の声が上がっていることも報じている。

 インドで昨年商業的代理出産が禁止される前に、同国でも代理母による出産で3人の赤ん坊の父親となったようだ、とのタイメディアの報道もある。シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、ジャパンタイムズの報道として、男性はバンコクの不妊治療院で、1年間に10人から15人の赤ん坊が欲しいと話したこと、また「世界のために自分ができる最善の行いは、多くの子供を残すことだ」との男性の発言を報じている

【代理出産が悲劇を生むことも】
 タイの代理出産スキャンダルは、最近の話題をさらっている、とシドニー・モーニング・ヘラルド紙は報じている。

 先日、子供への性犯罪で前科のあるオーストラリア人男性が、ダウン症を持って生まれた子供を、タイに置き去りにしたという悲惨な事件の報道もあり、関心は高いようだ。このニュースは日本でも大きく取り上げられた。

【事件発覚で、タイ政府は今後商業出産を違法と】
 これらの事件は、タイ政府に、商業出産を取り締まりよう促すこととなったようだ。タイの軍事政権は5月に政権を握ったばかりだが、既に、商業的代理出産を違法化する法律の草案を予備的に承認している。

 しかし、タイの代理出産を利用した200組とも推測されるオーストラリア人カップルにとっては辛い状況となっている。彼らは、法的な問題と、赤ん坊をオーストラリアに連れ帰ることができるか分かるまで数ヶ月間待たなければいけないという事態に直面している。(シドニー・モーニング・ヘラルド紙)

 タイ当局は、赤ん坊をタイから自国へ連れ帰るには、施設が代理母に与えた出産許可の証明書を生物学的親が裁判所に提出するなどの命令に従う必要があると発表した。

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Text by NewSphere 編集部