ワタミで働く外国人が語る“日本人は無意識に外国人を差別している”

 日本は世界的にみても、比較的外国人が少ない国ではあるが、日本で働く外国人労働者をはじめとして、以前の日本と比べれば外国人は多くなったと言えるであろう。それでもなお、外国人は疎外感を感じているようである。ここでは、ザ・グレート・グローバル・ディバイド(The Great Global Devide)の記事をもとに、ワタミで働く外国人の心境を紹介する。

【無意識の差別:名前の呼び方】
 ワタミの福岡の食品工場で2年にわたりパートタイムで働いているケビン氏は、仕事をするにあたって人種差別や偏見を目の当たりにしているかどうか、よく聞かれるという。彼の答えは、イエスだ。

 彼は、ワタミが外国人にも労働機会を与えていることに関しては称賛する。ただ、職場では、しばしば差別を受けているとも語る。その差別は、外国人に対する憎しみではなく、日本人が無意識に行っているものであるらしい。

 例えば、彼は最初「オレーリー」という名字で呼ばれていたが、それが大変嫌だったという。日本でもアメリカでも、「さん」や「Mr」を付けずに呼ぶというのは、とても失礼なことであるからだ。彼は、自分自身がそう呼ばれることに関しては我慢できるのだが、その名字を共有している自分の家族まで侮辱されていると感じていたようだ。名字を呼び捨てにしてくる同僚がまだいるのは、無関心からくるものだと述べている。

 一方で、自分のことを「外人さん」と呼ぶ同僚もいたようだが、そのことに関してはあまり気にならなかったようである。それは、当初彼が「外人さん」の意味を知らなかったことも理由の1つであるようだ。ただ、それ以上に、その同僚が誠実に仕事を教えることに集中していたことが大きいという。

【コミュニケーション不足で仕事にも支障】
 彼はまた、自分が外国人であるばっかりに差別を受け、その結果仕事の効率が悪くなっていると述べる。
 
 彼によれば、日本人は、外国人の日本語力を勝手に想定したり偏見を持ったりしているという。例えば、彼は会話レベルで十分な日本語力があるが、その職場独特の語句や新しい機械の名前などについて質問しても、曖昧な回答しか得られない。そのため、「この機械の名前なんですか?」といった質問を何度もしなければならない。その結果、得られる情報は不十分だ。

 また彼は、工場の体制変更等に伴い、切断の仕事しかもらえなくなったという。以前は切断、野菜の重さの計測といった仕事をしていたにもかかわらずだ。もちろん新しい仕事も何も教えられなかった。

 彼は、「将来、ワタミだけでなく多くの会社が外国人を必要とするであろう。日本の若い人は夜遅く働きたくないし、年を取った人は重いものを運んだりできない。ワタミは、まず、私がなぜこの仕事を始めたかということを、少し考えるべきなのだ。私がこの仕事を始めたのは、この職務に関する経験があるからだ。」と述べ、職場における外国人差別をなくすことの重要性を強調している。

【日本語が流暢でも、日本文化に精通していても、結局は外人扱い?】
 また、クラックド(CRACKED)の「日本に住むにあたって誰も教えない5つのこと」(5 Things Nobody Tells You about Living in Japan)という記事には、日本人の妻を持つ外国人男性の意見が書かれている。彼によれば、日本で生活するには、日本語が理解できることは必須である。だが、いくら日本語を流暢に話し、日本文化に精通し、なおかつ妻が日本人であっても、やはり日本人には外人扱いされるのだという。10年近く交流のある日本人にさえ、そういった扱いを受けているという。

※本文中「浅草食品工場」は「福岡の食品工場」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(1/28)

Text by NewSphere 編集部