「和食」、ユネスコ無形文化遺産へ 海外の反応は?

 日本政府が2012年3月、ユネスコの無形文化遺産に登録申請した「和食 日本人の伝統的な食文化」について、事前審査を担うユネスコの補助機関が新規登録を求める「記載」を勧告したことが、22日わかった。

 文化庁によると、過去の事前審査で勧告された登録申請が覆されたケースはなく、12月2~7日にアゼルバイジャンのバクーで開催される第8回政府間委員会で、最終決定が行われ、正式に登録される見込み。

 食と関係する無形文化遺産としては、これまでにフランスの美食術、イタリア、ギリシャ、スペイン、モロッコの共同提案による地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコの伝統料理ケシケキ(麦粥)が既に登録されている。日本の和食が5件目になりそうだ。

【和食登録を推進した村田氏に海外が注目】
 日本料理を世界に広げたい、と願う「日本料理アカデミー」の村田理事長が提言したのが発端、と海外メディアは報じている。

 村田氏は、日本の食文化「和食」の無形文化遺産申請に立ち上がり、海外でのPR活動など、多方面にわたる活動を展開。

 その結果、地方自治体や一般企業、NPO法人など1500以上の団体から支持を取り付け、果ては政府を動かし、2012年3月にユネスコへの申請書提出にこぎつけた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、補助機関が登録を勧告した知らせを聞いた村田氏は、「うれしい、自分らが食べているものは文化であり、次世代につながれば」と語ったという。

 また村田氏は、韓国の宮廷料理が無形文化遺産申請で却下されたことに触発され、国内外で和食への関心を高め、食文化を守る必要に駆られたという。

【海外ユーザーの反応は】
 ソーシャルニュースサイト「reddit」では、海外ユーザーから応援のメッセージが寄せられている。

 Goldsea氏は、米国やメキシコ、ドイツと比べ、日本は肥満者の割合が圧倒的に少なく、寿命が非常に長いことを指摘。要因として出汁やうまみにふれ、世界の健康に寄与する、と評価した。

 Asiaone氏は、福島原発事故で、日本の農産物輸出が大打撃を受けたことを取り上げ、今回の和食登録で信頼を回復し、日本産の食材が世界へ広がることを期待する、と述べている。

【日本産農産物の輸出促進なるか】
 和食の無形文化遺産への登録は、日本政府が取り組む農作物輸出拡大のカンフル剤になりそうだ、と複数メディアが報じている。

 福島原発事故や円高の影響により、農林水産物・食品の輸出額は、事故前の4,920億円(2010年)から4,511億円(2011年)とアジアを中心に大きく減少していた(農林水産省HPより)。

 政府や農水省は、今回の登録をアピールし、各国に日本産食品の安全性や魅力などを訴え、信頼を取り戻し、輸出を促す方針のようだ。

Text by NewSphere 編集部