4~5年で転職、キャリアアップのアメリカ人 米専門家が勧める「辞めるタイミング」とは

 過去に漠然とでも会社を辞めようと思ったことのある人は、実はかなり多いのではないだろうか。自分で「今が明らかに会社を辞めるとき」と即断出来る人はいいが、ほとんどの人にとっては、辞めるべきかどうかの判断を下すのは難しい。転職が当たり前のアメリカでも同じことが言えるようで、米メディアが見逃せない「辞めどき」サインを紹介している。

◆アメリカ人でも難しい。会社が合わないと判断するとき
 独立行政法人労働政策研究・研修機構の2016年国際労働比較データブックによれば、2014年の労働者の勤続年数は平均12.1年と、日本はOECD諸国の中でも最長のグループに属している。一方アメリカは4.6年(中位数)となっており、日本と比べ転職がさかんであることが容易に想像できる。

 そんなアメリカでも、転職のタイミングに迷う人は多いようだ。キャリアサイト『What’s For Work』のCEOテリ・ホケット氏は、多くの人は他人に指摘されたり、仕事に時間を取られすぎるようになったり、仕事外でも職場のことが気になるようになって初めて、自分が仕事に不満であることに気づくと述べている。求人情報サイト『Flex Job』のCEOサラ・サットン・フェル氏は、仕事が自分に合わなくなったときにはいくつかの兆候が出始めるとし、それは事態を改善するか、または仕事を辞めるかのどちらかを選択するときだとしている(フォーブス誌)。

◆辞めどきサインは多数。自分のためにも要チェック
 以下はフォーブス誌が紹介する辞めどきのサインで、複数当てはまるなら、会社をすぐに辞めるときだとサットン・フェル氏は述べている。

1. 仕事への情熱がなくなった(仕事自体がエキサイティングでなければ、続けていても本領が発揮できない)。
2. 朝、出勤するのがつらい。
3. 会社が業績不振(沈む船とともに沈没する必要はない)。
4. 同僚、上司が嫌い(ただし、解決する努力をしたうえで)。
5. 常にストレスを感じ、仕事に否定的でアンハッピー。
6. 仕事のストレスで体調不良(さらに、家族にも影響を及ぼしかねない)。
7. 社風が合わない。
8. ワークパフォーマンスが低下。
9. ワークライフバランスが崩壊。
10. 自分のスキルが埋没して過小評価されている。
11. 仕事量が増え、責任が重くなったのに、給料が上がらない(特に会社の業績が好調なら迷わずやめるべき)。
12. アイデアが聞き入れられない。
13. 仕事が退屈でもう学ぶものがない。
14. 言葉の暴力、セクハラ、その他の許されない行為を経験している。

 これらの他にも、10年以上同じ会社に勤めている場合も、スキルアップのため転職することをUSニュース&ワールド・レポートは勧めている。また、仕事がすごくできる人も、もう挑戦しがいのある仕事がないと判断し、新たな職にチャレンジすべきだと述べている。仕事ができない人には、その職自体が合っていないのではとして転職を勧めている。

◆転職にもビジネス的視点を。人とのつながりも大切に
 辞めどきと判断したら、まず自分のゴールを設定せよと、キャリアコーチでHired Groupの創始者、ライアン・カーン氏はアドバイスする。仕事の内容、企業文化、報酬や福利厚生などに関し、自分が求めているものを挙げ、退職と転職までのタイムラインを作っておくことが重要だとしている。職場関連の専門家で同分野の著書を持つ、リン・タイラー氏は転職で大事なのは、経済面、キャリア構築面、感情面で今後十分なリターンがあるかどうかというビジネス的視点を持つことだとし、投資に見合う選択と判断できたなら、チャンスを逃してはならないとしている(フォーブス誌)。

 転職を決意しても、現在の職場の人間関係への配慮は忘れてはいけない。ホケット氏は、「ビジネス・コミュニティはつながっており、他人の話も良く聞くし、知人の紹介で職を得ることもある」と述べる。そして「自分の橋は絶対燃やさない」という黄金律は忘れてはならないとし、人間関係を壊したり、けんか別れしたりするのは禁物で、常にプロフェッショナルにふるまい、大人の対応をするべきとアドバイスしている(同上)。

 辞めどきサインが出ているあなた。今が転職のチャンスかもしれない。自分の未来のためにも、本気で検討してみてはどうだろう。

提供:株式会社ビズリーチ

Text by 山川 真智子