アカデミー賞だけじゃない、世界の舞台での大失態 やらかした人たちが「後輩」にエール

 先月発表されたアカデミー賞で、最優秀作品賞が間違えて発表される一幕があったが、恐らくあのシーンは、「アカデミー賞史上最大の間違い」としてこれから何年も語り継がれていくのではないだろうか。しかし実は過去にも、世界のさまざまな授賞式で「大ぽか」をやらかした人たちが存在する。

◆ミス・ユニバース2015
 ミス・ユニバースといえば、世界一の美女を決める大会だが、2015年の世界大会でとんでもないハプニングが起きている。上位2名がステージに残り、「優勝者」が発表されるシーンで、コロンビア代表のアリアドナ・グティエレスさんがミス・ユニバースとして呼ばれた。グティエレスさんには花束が渡され、頭上にはティアラが乗せられた。観客に投げキスをしながら手を振り声援に応えるグティエレスさんだったが、実は優勝者はフィリピン代表のピア・アロンソ・ウォルツバックさんだった。ばつが悪そうにステージに戻ってきた司会のスティーブ・ハーベイ氏が、「謝らなければいけないことがあります」と観客に向かって、何が起こったかを釈明した。カードには「次点者」としてグティエレスさんの名前が書いてあったのだが、それを「ミス・ユニバース」として読み上げてしまったという。

 「次点者はコロンビアでした」と改めて発表される中、ステージ後方にいたフィリピン代表のウォルツバックさんは驚きに満ちた表情をたたえていた。その後、ステージ中央にウォルツバックさんが出て来て、前年2014年大会で優勝したパウリーナ・ベガさん(コロンビア代表)が改めてウォルツバックさんの頭上にティアラを乗せた。ベガさんがウォルツバックさんに渡すためにグティエレスさんの頭からティアラを外す際、取りやすいようにと長身のグティエレスさんが屈んであげる姿が痛々しい。

◆「ベイティ、乗り切る手助けするよ」
 USウィークリーによるとハーベイ氏は昨年12月、ザ・トゥナイト・ショーに出演し、「4分にわたる地獄そのものだった」とミス・ユニバースでの失敗を振り返った。当然、今年のアカデミー賞授賞式でのハプニングは人ごとには思えなかったのだろう。ハーベイ氏はツイッターで「ウォーレン・ベイティ、電話ちょうだい。乗り切る手助けするよ」と呟いた。ミス・ユニバースの公式ツイッターもアカデミーに向かって、「関係者に電話させて。どうすればいいか、私たちなら分かりますから」とツイートした。なおハーベイ氏は2017年のミス・ユニバースでも改めて司会に選ばれ、コロンビア代表に「私はコロンビアで嫌われている?」など自虐ネタを入れつつ無事に役割をこなした。

◆ポップスの王者、誕生日を受賞と勘違い
 2002年、MTVビデオ・ミュージック・アワードの授与式が、マイケル・ジャクソンさん44歳の誕生日と重なった。そのためMTVはちょっとした誕生日祝いをしようと、ブリトニー・スピアーズさんをプレゼンターとして、ジャクソンさんに誕生日プレゼントとケーキを渡す演出をした。プレゼントを渡す際に、スピアーズさんが「彼は千年紀を代表するアーティストだと思う」とスピーチしたのだが、ジャクソンさんは「千年紀最優秀アーティスト賞」を受賞したと勘違いしてしまった。さらに、誕生日プレゼントがトロフィー型だったことも、混乱に拍車をかけてしまったようだ。ステージ中央に出てきたジャクソンさんは、「受賞演説」さながらに神様や関係者にお礼を述べ、「まさか自分が千年紀最優秀アーティスト賞を受賞する日が来るとは思わなかった」と演説した(ガーディアン)。

 この他にも、オーストラリアの人気テレビ番組「オーストラリアズ・ネクスト・トップ・モデル」での2010年の優勝者の発表間違いなど、世界的な舞台や生放送での大失敗は意外と多い。世界中の注目が集まり多くの人が関係するイベントで間違いをしてしまった人は、事後処理や心理的痛手など相当大変だろう。彼らと比べれば、会社で部下が(もしくは自分が)少しミスをしてしまったくらいなら、もしくは日常生活の小さな失敗などは、まだ可愛いものだと思えて来ないだろうか。

Text by 松丸 さとみ