日本人も監視されている、それでいいのか? 映画『スノーデン』で考えたい今私たちの問題

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日本人も監視されている、それでいいのか? 映画『スノーデン』で考えたい今私たちの問題

 オリバー・ストーン監督、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の『スノーデン』が1月27日金曜日より日本公開となる。アメリカ国家安全保障局(NSA)、中央情報局 (CIA)の元局員であり、情報収集活動に携わったコンピュータ専門家のエドワード・スノーデンが、2013年6月にNSA の機密情報をイギリスのガーディアン紙に暴露した事件を描いたノンフィクションが原作となっている。

◆英雄か、犯罪者か
 怪我のために軍隊除隊を余儀なくされた愛国的青年スノーデンは2006年、コンピュータの知識を買われCIAに入局する。2007年、スイスのジュネーブに派遣されるが、そこで対テロ諜報対策の名目のもと、アメリカ政府が自国民のみならず世界中の一般市民から膨大な情報を収集していることを知る。その後、2009年にNSAの契約職員、コンピュータ会社デルの社員として来日(デルは、NSAの請負会社の1つ)し、米軍横田基地内で勤務。その後ハワイのCIA工作センターへ。

 なぜ当時29歳の青年は、キャリアや恵まれた生活を捨て、国家反逆罪、機密情報漏洩罪などに問われる危険をおかしてまで、実名での告発に踏みきる気になったのか。ちなみに米国には、イラク空爆関連の内部告発をし、機密文書漏洩罪で服役しているチェルシー・マニング元上等兵などがいるが、オバマ前大統領が退任前に同上等兵に恩赦を与えたことで話題となった。

◆監視社会はどこまで来ているのか
 スノーデンにまつわる事件は、紛れもなく現代アメリカ、あるいは世界中の市民にかかわる最重要事項の1つだろう。すなわち、「私たちは、いったいどこまで監視されているのか」ということだ。

 当のガーディアン紙は「主演のジョゼフ・ゴードン=レヴィットの好演にもかかわらず、ストーン監督の、現代のもっとも重要なトピックの1つの扱いは妙に控えめだ」と述べる。同じくアトランティック誌もやや物足りない様子だ。

 だが、映画の役目は問題を扇動することではないのかもしれない。「本作が望むのは(スノーデン氏が常に望んだように)、あなたを悩ませること、また、あなたの情報を収集してあなたを守るためだと言う人間たちの善意に対して、あなたに疑念を持たせることだ」とNYTは指摘。

「同監督は『ニクソン』以来20年ぶりに真に意味のある作品を作ったといってもいい」とするエンターテインメント誌のバラエティも、「『スノーデン』は左派の陰謀のプロパガンダではない(そう責めたてる人はいるだろうが)。監視というものがどこまで来たのかを深く追求する、魅力的で実演的なドキュメンタリードラマである」と述べる。

◆日本人俳優も登場
 ところで、映画中盤、米軍横田基地の情報部内でスノーデンと握手する精悍な自衛隊将校を演じたのは、ドイツ在住で俳優として活動している田川達也さんだ。2015年、撮影がミュンヘンで行われたため、エージェントから話が回ってきたという。

「慣れ親しんだドイツの撮影現場の雰囲気とは違っていました。とにかく静かなんです。現場での待ち時間も異様に長かった。ハリウッド映画はこんなものなのかなと思いました」と田川氏。「やがて周囲がざわついたかと思うと、オリバー・ストーン監督が登場しました。緊迫した感じのスタッフとはうってかわって、監督はにこやかに握手を交わして回りました。演技の指示をされ、カメラ位置と照明の調整が始まると、そこにいるのはジョゼフ・ゴードン=レヴィットではなく、似た背格好の別の俳優。さすがスターは本番まで出てこないんですね」

「本作に出演して思ったのは、私たちの日常生活は本当に、本当にすべて監視されているということ。そして、私たち日本人はそのことに疎いように思います。ぜひこの映画を見て、考えてほしい」という田川氏。その点も心にとめて映画を観てみたい。

(モーゲンスタン陽子)

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