ファンも覚醒、フォースが世界を席巻! SW新作が記録更新、各地で熱狂の渦

『スターウォーズ/フォースの覚醒』が18日より世界同時公開となり、公開最初の週末の興行成績を世界各地で更新した。10年ぶりとなるシリーズ最新作に盛り上がるファンのさまざまなエピソードや、今作からの配給元となったディズニーの野望などをメディアが伝えている。

◆各地で続々記録更新
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によれば、『スターウォーズ/フォースの覚醒』の全米、カナダでの興行収入は、公開1週目の週末だけで2億3800万ドル(約285億円)を記録。6月に公開された『ジュラシック・ワールド』の2億900万ドル(約250億円)を超え、史上最高となった。

 海外でも週末の興行収入は2億7900万ドル(約335億円)と好調だったが、世界第2位の映画市場、中国での公開が1月からのため記録更新はならなかった。英、独、豪、露など14か国で記録を塗り替えたが、ブラジル、日本、メキシコ、韓国では思ったより数字が伸びなかったとWSJは伝えている。

◆新作にファンも大盛り上がり
 海外メディアは、新作スターウォーズ公開にまつわるファンたちの熱いエピソードを報じている。シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)によれば、17日、新作一番乗りを目指し泊まり込んでいたオーストラリア人カップルが、ハリウッドのチャイニーズ・シアター前で結婚式を挙げた。二人は2005年にエピソード3『シスの復讐』のプレミアを見るため、6週間泊まり込みで並んだ強者カップル。公開初日に結婚式を挙げないかという劇場側の提案に応じ、新婦の父代わりのダース・ベイダ―、タキシードと蝶ネクタイのチューバッカとR2-D2が見守る中、愛を誓い合ったということだ。

 イギリスでは、お天気レポーター、シアン・ウェルビーさんの公開日の天気予報が話題となった。「より西側をルーク(ルック)すると、かすかな日ざし見られます…北スコットランドではフォース(風の力)が強いでしょう…今晩は、お天気の逆襲があります。…明日の朝早く、フォースに覚醒させられると、朝はダークサイドとなっているでしょう」と、39秒間にお馴染みのスターウォーズ用語をちりばめた見事な予報は、YouTubeで280万回以上(12月21日時点)再生されている(Digital Trend)。

 公開初日の劇場でのアクシデントも、ソーシャルメディア上を駆け巡った。米CBSによれば、ハリウッドのアークライト・シネマでは、深夜上映中に映写機の故障により、映画が中断。場内には「ノー」の声があふれ、ソーシャルメディアには怒りのコメントが多数寄せられたという。当然劇場は払い戻しに応じ、無料招待券も配られたが、「できることなら今日をやり直したい」と落胆するファンには、苦々しいエピソードとなったようだ。

◆ディズニーの大黒柱となるか?
 前作から10年にもかかわらず、新作公開に盛り上がる忠実なファンたちの姿に胸をなでおろしているのは、配給会社のディズニーかもしれない。2012年に、スターウォーズ・シリーズを製作するルーカス・フィルムを買収したディズニーにとって、今作は、「スターウォーズ事業」の未来がかかる重要作品だとロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)は指摘する。ディズニーは興行収入以外にも、ビデオゲーム、グッズ、テーマパーク等でかなりの収益を期待しているうえ、すでに数本の続編製作も決めている。そこで絶対に失敗できない今作では、新キャストとともに、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミルのオリジナルメンバーを再投入し、シリーズで最も評価の高いオリジナル3部作に倣う手堅い策に出たとWSJは指摘する。

 英デイリー・メイル紙によれば、ディズニーは特にハリソン・フォードの起用を切望し、「まさにこのシリーズを作る上でのカギとなる人物。彼なしではこの作品はなかった」として、1670万ポンド(約30億円)のギャラを支払っている。ちなみにこの額は、新メインキャストたちの76倍という高額。フォードは総収入の0.5%を受け取る契約にもなっており、今作から得る収入は、2300万ポンド(約41億円)と同紙は試算している。

 WSJは、『アバター』が持つ世界での興行収入記録、27億9000万ドル(約3350億円)を抜くには、口コミで良さを広げ、リピーターを増やすことだと指摘。さらに、オリジナル3部作が未公開の中国での反応が、大きな影響を及ぼすだろうと述べている。

Text by 山川 真智子