“前例破り” 錦織、2試合連続の激闘を制し、4強進出 現地メディアも驚嘆

 錦織圭選手(第10シード・世界ランク11位)は3日、全米オープン男子準々決勝で、スイスのスタニスラス・ワウリンカ選手(第3シード・同4位)に3-6、 7-5、7-6 、6-7 、 6-4でフルセットの末勝利した。

 錦織自身初となる4大大会(グランドスラム)での4強入りを果たした。日本人としては、1918年大会の熊谷一弥以来となる96年ぶりの準決勝進出だ。

 前試合では、カナダのミロス・ラオニッチ選手との4時間19分に及ぶ試合に勝ち、92年ぶりのベスト8となった。

【錦織、粘り強く攻めた】
 第1セットは、3-6で落とした。第2セットも厳しかった。しかし、ワウリンカが大事な場面でサービスミスをし、7-5と取り返す。

 第3セットは、どちらかが返しようのない素晴らしい一打を打ち込むまで長いラリーが続いた。錦織は球を左右に散らし、有利に立つ。途中、股の間から打ち返すミスショットで、相手にブレイクポイントを取られたが、錦織は粘ってタイブレークに持ち込み、このセットを7-6でものにする。

 第4セットもまた、劇的だった。ワウリンカが4-0でリード。錦織は4-4まで追いついたが、ミスショットが続き、結局6-7と落としてしまう。

 第5セット、サービスがうまく決まり錦織が5-4でリード。ワウリンカも好プレーを見せたが、最後は、フォアハンドでのショットをネットに引っかけてしまい、錦織が6-4で接戦を制した。

【2試合連続しての長丁場】
 長い試合だった。錦織は勝利に両腕を突き上げることはなく、空を仰ぎみて何か口を動かしただけだった。

 この試合のわずか2日前、錦織-ラオニッチ戦は、大会史上最も遅い終了時間に並ぶ翌日の午前2時26分にようやく決着がついた。これまで午前2時以降までかかる長い試合を戦った5人中4人の選手は、次の試合で負けている。しかし、錦織のセンセーショナルなフットワーク、容赦ない返球、際立つ我慢強さ、計算されたボレーが、この前例を無いものとした、とCBSは称賛している。

 錦織の疲れ切った様子とは対照的に、コーチのマイケル・チャンは喜びを爆発させた(ニューヨーク・タイムズ紙)。チャンコーチもまた1992年に5時間26分という大会史上最も長い試合を戦った選手だった。

 錦織は勝利後、「とってもいい気分だ」「すごくうまくプレーできているし、この大会は、グランドスラムの中でも大好きな大会。ここにはいい思い出がある。だから、初めて準決勝にすすめることもすごくうれしい」(ブルームバーグ)と話している。

【試合ごとに成長】
 準々決勝が午後から夕方にまで及んだとき、錦織圭選手は選手としてのキャリアが、いつしかこれまで経験したことのない不思議な領域に入ってしまったと感じたに違いない、とニューヨーク・タイムズ紙はその成長の様子を報じている。

 錦織選手は24歳。試合終盤でも快活でエネルギッシュなプレー、体力がどれだけ残されているか構うことなく常に全力でのぞむ、と同紙は評している。

 錦織は、「そうだね、試合はちょっとしんどくなってきた」「でも身体は大丈夫。試合を重ねるごとに、自信がついてきた。特に第3セットを戦うためのね」(ニューヨーク・タイムズ紙)とまだ余裕を見せている。

 錦織には5日の準決勝試合まで、2日間の休みがある。相手は、セルビアのノバク・ジョコビッチ(世界ランク1位)だ。

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Text by NewSphere 編集部