「数独」は子どもの記憶力強化に貢献? 英紙、学校教育への導入を期待

 ロンドンで開催された第9回世界数独選手権で森西亨太(こうた)さんが初優勝。個人戦で日本人が優勝するのは初めて。森西さんはこれまで第6回、第7回、第8回の世界数独選手権で惜しくも準優勝だったが、ついに悲願の優勝を遂げた。団体戦でも日本が2年ぶり3度目の優勝を収めた。

 数独は、縦横9×9(81個)の正方形のマスに、1~9までの数字を埋めていくパズルゲーム。同じ列や縦横3列のブロックに同じ数字を重複させてはいけないルールがあり、シンプルながらも無数のパターンを思考しなければならない。

 世界数独選手権では、問題を解くスピードと正確さを競いあう。今回は10日から5日間、34カ国・地域から180人が参加。各ラウンド45分の制限時間内に、解けた問題の数を競う。ただし、各参加者は20問をクリアしなければならないようだ。決勝戦で森西さんはエストニアのTiit Vunkと対戦し、ダイナゴラル数独やイレギュラー数独などを含むバリエーション5問を18分足らずで解き見事優勝を果たした。

【数独がイギリスの教育界を変える?】
 「数独は子どもの脳の発達を促進することができる」という見出しをつけた英紙デイリー・メールは、子ども教育に数独は有効であるという専門家の見解を紹介している。

 専門家によると、数独パズルは記憶力をアップ、クロスワードは発話流暢性を改善、ワードゲームは語彙学習にとって有効的であるとの見方を示し、これらの効果をケンブリッジ大学研究者らの研究で分かったという。

 しかしながら、同紙はこれらのゲームがイギリスの学校で効果的には使われていないのではと憂いているようだ。同紙によると、75%の教師は授業中になんらかの形でこれらのゲームを導入しているものの、往々にして学習(質)の改善というよりもむしろ子どもの関心を引く方法として見られる、と指摘している。

 また同紙は、これらのゲームは国が定めたカリキュラムを下支えすると結んでいる。つい26年前まで国の定めたカリキュラムが存在せず、学校や教師が独自のカリキュラムに沿って授業を進めてきたイギリスに、科学的検証で多くの利点が発見された数独を国定カリキュラムに組み込み、さらなる質的改善につながるよう取り組むかもしれない。

【数独は日本語だけど由来は日本ではない?】
 英国版IBTimesとテレグラフ紙とは、「数独は日本発祥ではない」と興味深い事実を報じている。

 元を辿れば数独は、アメリカ・インディアナポリス出身の建築家ハワード・ガーンス氏が考えたものだと伝えている。元同僚によれば、彼が製図板に殴り書きしたゲームを「ナンバープレイス」と呼んだことから始まったようだ。その後デルマガジンズ社が1979年に数字パズルゲーム(ナンバープレイス)を出版。それを目にしたパズル会社二コリの代表が、日本で紹介する際「数独」と命名したようだ。それから2004年、英紙で連載が始まった数独は「Sudoku」として話題になり、ヨーロッパ各地へ広がりをみせた。

 一方、数独の元となる考えは18世紀の大数学者レオンハルト・オイラーの「ラテン方陣」に遡るという。ラテン方陣とは数字ではなくラテン文字を使って、n×nのマス目にn種類のラテン文字を埋めるようだ。その際、行と列に同じ文字が重ならないように一回だけ現れるように並べるらしい。数独の源流はオイラーであり「祖父」とも言える。

Text by NewSphere 編集部