20周年「セーラームーン」、新作が海外で好評 “時代を超える”作品と旧作ファン歓喜

 「美少女戦士セーラームーン Crystal」が、7月5日に公開された。同作は1992年から1997年にかけてテレビアニメが放映されており、世界中で大人気となっていた。今回の作品は、より原作漫画に沿ったものになると公表されていた。『美少女戦士セーラームーン20周年プロジェクト』によって、インターネット上で全世界に同時配信されており、海外の情報サイトにも、配信開始当日のうちに、多数のレビュー記事が掲載された。

※以降、一部ネタバレがあります。

【高評価のレビューが多い】
 海外サイトによるレビューは概ね好評で、特に、アニメーションの美しさと、変身シーンのCGの質の高さが評価されている。主人公の「セーラームーン/月野うさぎ」の声に、オリジナル版と同じ三石琴乃氏が起用されていることへの評価が揃って高い。

 作画では、デフォルメ表現が減ったことがオリジナル版との違いとして挙げられている。『Den of Geek』の記者は、そのせいで何かが欠けていると感じられると述べている。オリジナル版で主人公が「瑕のない美しさを持つ均整の取れた少女ヒロイン」と一線を画していたのは、ギャグ調のデフォルメによるもので、それが取り去られたことで主人公のキャラクターの面白みもなくなったという。

 一方、『A. V. Club』の記者は、漫画的になりすぎず、より洗練されたと評価し、「ストーリー展開を知っていてもビジュアル面で鑑賞を楽しめる」としている。

【ストーリー展開のテンポ感】
 ストーリー展開が早すぎるという指摘もある。例えば、その時点では正体を隠しているはずの「タキシード仮面」が、主人公との邂逅シーンで昼間からタキシードを着ているなど、「何事も出来るだけ早く見せる」方針なのかと『Recently Heard』の記者はいう。

 また、『Den of Geek』の記者は、二人目のセーラー戦士が登場するのが早すぎるという。オリジナル版では第8話まで登場しなかったためだ。しかし、『A. V. Club』の記者は、ファン層のうち主人公個人のファンは一部に過ぎないので、他の戦士も出来るだけ早く登場させようとしているのだろうと分析する。

【リメイクだが全く新しい作品でもある】
 『A. V. Club』の記者は、今回の作品はオリジナル版と同じストーリー構成でありながら、ちょっとした表現の違いによって、全く新しいものを作り出しているという。その例として、戦闘シーンでのタキシード仮面の登場の仕方を挙げる。ここでは、オリジナル版の「バラを投げて危機に陥った主人公を助ける」シーンが除かれているため、主人公の勝利が主人公一人のものとして描かれている、と分析されている。

 アニメーションとしての質は高く、表現を少し変えつつも、古くからのファンのノスタルジーを満足させる超時代性をも備えている、というのが記者たちの共通した見解のようだ。

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Text by NewSphere 編集部