進化する日本の地ビール、米国でジワリ人気に 独自のフレーバーなどが評価

 “パブ・クロール”といえば、地物のビールやウイスキーを楽しみながら、何件ものパブ(飲み屋)をはしごすることを意味する。

 近年、国内外で日本の地ビールを扱う店が増え、“地ビール・クロール”を楽しむ機会も増えてきているようだ。

【日本のビールの過去・現在・未来】
 日本におけるビールの歴史は、江戸時代にさかのぼる。鎖国中の日本へ、貿易のために訪れていたオランダ人船員のために作られたビアホールが始まりだ。

 当時のビールは当然輸入品。日本でビールが製造されるようになるのは、明治時代に入ってからである。

 日本のビール業界は、ビッグ4と呼ばれる「アサヒ」、「キリン」、「サッポロ」、「サントリー」によってシェアのほとんどが占められてきた。だが昨今、地ビールがジワジワとその人気もシェアも伸ばしつつあるようだ。

 日本の地ビールは、それぞれの地元を飛び出し、日本各地へ、そして世界へも進出しつつある。

【日本の地ビールが日本観光の楽しみの一つに?】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、日本の地ビールの話題を取り上げている。

 同紙は、日本の地ビールを紹介した「Craft Beer in Japan」の著者である関西大学のメリ教授の言葉として、「日本の台所」と呼ばれる大阪に、地ビールバーが急増していると紹介。アメリカに比べ、地ビールメーカーが少ない日本だが、その味は素晴らしいとのコメントも載せられている。

 記事では、「しかし、日本の地ビールを強いて勧めるつもりはない。西洋のビール業界のライバルになりつつあるから」と、逆説的な表現で、日本の地ビールの実力を認める発言も見られた。

【日本の地ビール、アメリカでも人気に】
 また、アメリカ・ニューヨークの西に位置する都市・バッファローの食を紹介するブログ「Buffalo Eats」では、近年、日本の地ビールを飲める場所が増えていると紹介している。

 著者は、まだハシリの時期に日本で味わった地ビールにガッカリさせられた経験について語る。しかし、近年の日本の地ビールは、バッファローで飲むことができるものだけでも、それぞれに香りやスパイスなど地物の材料を使った特色あるものが多いと評価。日本の地ビールの成長ぶりを楽しみにしている様子が伝わってくる。

 さらに、次に日本を訪れる際には、バッファローで手に入らない、素晴らしく独創的で豊富な地ビールを楽しめるに違いないと付け加えている。 

 日本の地ビールに世界のビール好きが注目するのはもちろんだが、日本を訪れる観光客にとっても、“地ビール・クロール”は、日本滞在中の楽しみの一つとなるかもしれない。

Text by NewSphere 編集部