世界に広がるワサビの風味 ワサビを使ったビールがアメリカで発売へ 現地メディアも注目

 今日、日本食は世界でも一般的なものとなったが、「ワサビ」に関して新しい動きが起こっている。イギリスでは本ワサビを栽培する農場が現れ、アメリカではワサビを使ったビールが発売される予定だ。

【本ワサビの栽培が始まったイギリス】
 イングランド南部、ドーセット州のある農場が本ワサビを栽培している。インディペンデント紙の記者がこの農場を訪ね、ワサビ栽培についてのレポートを掲載した。

 ワサビは適切な温度と新鮮な流水を必要とし、収穫までには2年程かかる。このため栽培が難しい作物として知られるが、この農場では100年以上の期間に渡ってクレソンを栽培していたため、栽培施設が備わっていた。さらに、地表のごく近くに水があるため、日除けを設置するだけで済んだのだという。

 一般的に「ワサビ」として売られているものは、葉や茎の部分を使用していたり、あるいはホースラディッシュに着色料を加えたものだったりする。しかし、水流の全ての栄養分を吸収した根茎こそがメインである、との農場のハーパー氏による説明を記者は報告している。

 この農場にはスカンジナビア半島を含むヨーロッパ全土のレストラン、更には日本からも業者が交渉に訪れるという。

 試食した本ワサビに魅せられた記者は、しかし「平均的な」食堂における反応はどのようなものかと疑問を持ち、自分でステーキのワサビバター添えをつくって両親に振舞った。その時の反応から、新鮮な本ワサビは「成功しそうだ」と結論付けている。

【ワサビでビールをつくるアメリカ】
 一方アメリカでは、ワサビを使ったビールが発売される。

 『Dogfish Head』醸造所が、ミュージシャンのジュリアナ・バーウィックとのコラボレーションで販売する『Rosabi』というビールだ。タイム誌によると、『Dogfish Head』醸造所は、以前に「月の塵」を使ったビールをつくっており、今回の『Rosabi』は、同社の『ミュージック・シリーズ・コレクション』の一環として発売される。

 バーウィックは自分の歌声を録音で重ねて曲をつくる。醸造所の社長は、「我々のビールのレシピが完全に伝統破りであるように、彼女の歌は美しいが完全に型破りだ」と述べ、コラボレートするにふさわしいと考えていると『Brewbound』は伝えている。醸造所で録音したコンベアや炎、泡などの音を用いてバーウィックが作曲したオリジナル・アルバムが、1000ケースに同梱される。1ケースは『Rosabi』750ml半ダース入りだ。

 原料にワサビが加わったビールの風味については、「ワサビ… 日本の根は苦味とホップに似たハーブの香気を加え、炭酸のキックの後にほのかな熱を忍び込ませる」と同社は表現している。他の原料は、2種類のモルト、2種類のホップ、そしてバーウィックの故郷ルイジアナの赤米だ。

 『Rosabi』は6月1日にアメリカ全土で発売され、2ヶ月間の期間限定販売の予定。

 そのうち、日本人には却って思いつかないようなワサビの食べ方が紹介される日が来るかもしれない。

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Text by NewSphere 編集部