米国版戦隊ヒーロー「パワーレンジャー」映画化へ 20年来の根強い人気、日本と異なる魅力とは?

 映画製作・配給会社ライオンズゲートは7日、「マイティー・モーフィン・パワーレンジャー」の実写版映画を、版権を持つサバン・ブランドと提携し制作すると発表した。

「マイティー・モーフィン・パワーレンジャー」は1993年、米フォックスの子供向けチャンネルで放送を開始。その後アメリカで最も人気のある子供番組のひとつとなった。番組のオリジナルは、日本の「スーパー戦隊シリーズ」第16作目の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」(1992年2月-1993年2月放映)だ。

 パワーレンジャー関連のおもちゃ、洋服、衣装、ビデオゲーム、DVD、漫画などが、アメリカで販売されている。1995年の初の映画化では、全世界で総額6600万ドルの収益をあげた。

【映画パワーレンジャー再びヒットとなるか】
「ライオンズゲートは、パワーレンジャーをさらなる高みへと押し上げることのできる申し分ない製作会社だ」(5/7付プレスリリース)とサバン・ブランドの会長兼CEO、ハイム・サバン氏は提携を喜んでいる。ライオンズゲートは「トワイライト~初恋~」(2008年)、「ハンガー・ゲーム」(2012年)、「ダイバージェント」(2014年)などのヒット作を製作した実績のある会社だ。

 ライオンズゲートは、これまでのファンに加え、新しい層のファン獲得にも期待している(タイム誌)という。

 またサバン・ブランドも、若い世代へネット上でキャンペーンを組み、子供時代の郷愁を誘うことで、おもちゃや衣装、新しいシリーズの売り込みを既に始めているようだ。

【稚拙な内容だが影響は大きい】
 パワーレンジャーは実写作品だったこともあり、子供たちは登場人物たちの戦闘シーンを真似て遊ぶようになった。しかし、番組中、戦いで負傷する場面がしばしばみられたため、その危険性が子供番組全体に悪影響を及ぼすのではと心配されたようだ。

 それでも人気はいまだに高く、子供時代を懐かしむ人々も多くいる。放送開始から20年以上たっても新しいシリーズが作られている。

 映画批評家のスコット・メンデルソン氏は、質を問わなければ、パワーレンジャーは、小さな子供が喜ぶアクション満載の色鮮やかで陽気なSF作品だ(フォーブス誌)、と評している。

 単純なストーリーの中に人生の教訓を含み、子供の年齢に合わせたユーモアや、日本版よりも多めの戦闘シーンが盛り込まれているという。また、レンジャーには必ず1人以上の女性が含まれ、レンジャーの人種構成も多様だ。これらは現在の大ヒット映画には無い要素だ、と同氏は指摘する。

 ファンの間では、既に配役の予想で盛り上がっているようだ。例えば、悪役にジョディ・フォスター、 ダニエル・デイ・ルイスなどの名前が挙がっているという。

【パワーレンジャーは特別な存在】
 フォーブス誌の記事には、パワーレンジャー世代からの思い入れコメントが寄せられている。

・カラフルな僕らの救世主がスクリーンに登場か!手放しで大歓迎だ
・製作会社は、新しい内容のパワーレンジャー劇場版を作るつもりなんだろうな。でも新しいパワーレンジャーを観たいファンはあんまりいないと思う。それより最初の劇場版がもう一度観たいよ。
・1989年生まれだよ。ちょうどオリジナルの「マイティー・モーフィン・パワーレンジャー」をリアルタイムで見たけど、彼らは私たち世代にとって、特別な存在。毎日、放送時間の夕方4時が来るのが待ち遠しかった。何かの理由で見逃すとひどく落ち込んだりしてね。

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Text by NewSphere 編集部