“なぜ『赤毛のアン』日本でこんなに人気?” NHK朝ドラ登場で、カナダは観光客に期待

「赤毛のアン」の翻訳者である村岡花子の生涯を描いたNHKの連続ドラマ「花子とアン」が3月31日から放送開始予定である。村岡花子が日本で初の翻訳版を出版したのは、60年以上前の1952年。以来、現在まで続く、日本での「赤毛のアン」人気について、複数の海外メディアが注目している。

【「赤毛のアン」を日本で初めて紹介した村岡花子】
 1939年、児童文学翻訳家の村岡花子は、外国人宣教者の友人から別れ形見に一冊の本を受け取った。「Anne of Green Gables(原題)」である。第二次世界大戦の只中、敵国の言語である英語の本を読み日本語に翻訳することは危険が伴った。しかし、爆弾が街を破壊する中でも、彼女はその本を守り、ついに翻訳を完成させた。彼女の翻訳「赤毛のアン」は日本文化に多大な貢献を果たした。

 日本で有名な「赤毛のアン」であるが、その本の舞台となったカナダでは意外に知られていないようだ。「赤毛のアン」の著者モンゴメリの故郷であり、作品の舞台となっているのは、東海岸にあるプリンスエドワード島である。ハフィントン・ポスト(米国版)に記事を寄稿した地元出身の筆者は、なぜ日本人観光客が年々訪れるのか全く分からなかったという。

【日本人の心を打ったアンの奮闘】
 筆者は、「赤毛のアン」ミュージカルのスポンサーであるエステーの鈴木喬会長へインタビューを行っている。鈴木氏は、第二次世界大戦で日本が完全に破壊されたのを目にした後、1952年に村岡花子の「赤毛のアン」が出版された際、皆が夢中になって読んだと述懐している。誰にも愛されなかった孤児が自分の場所を見つけようと奮闘する姿は、戦後の日本人の心を打ったと述べている。

 また筆者は、多くの日本人から「赤毛のアン」を知ったきっかけはテレビアニメだったと聞いたという。1979年に放送された「赤毛のアン」は何十年も再放送されており、3月にはブルーレイも発売される。

【アンの家が建てられる】
 北海道にはカナディアン・ワールドというテーマパークがある。「赤毛のアン」の世界と19世紀のカナダの街並みを再現した公園である。園内には、プリンスエドワード島のキャベンディッシュにある「赤毛のアン」の家、グリーンゲイブルズを忠実に再現した家もある。

「赤毛のアン」の家を見るだけでは済まず、グリーンゲイブルズの様な家を建てる日本人も多いという。日本の輸入住宅会社メープルホーム社は、グリーンゲイブルズを忠実に再現した住宅を提供している。同社は、内側も外側も原型に忠実な家を求める顧客のために、プリンスエドワード島から厚板床材を輸入している、とカナダの公共放送局CBCは報じている。

【地元は観光客に期待】
 NHKのドラマにより、「赤毛のアン」に対する関心がさらに高まり、プリンスエドワード島を訪れる観光客の増加が期待されている。

 プリンスエドワード島には日本から毎年1万人の旅行客が訪れていたが、現在は3,000人に留まっている。プリンスエドワード州首相ロバート・ギズは、「少なくとも1万人の観光客を取り戻したい」、「2万人もありうる」と抱負を述べた、とCBCは伝えている。

※本文中「エステー科学の鈴木喬社長」は「エステーの鈴木喬会長」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(3/17)

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Text by NewSphere 編集部