日本人の知らない和食の魅力がいっぱい!? 英国一家の“和食放浪記”がベストセラーに

 イギリス人フードジャーナリストが家族を引き連れて、日本中を心行くまで食べ歩く。「英国一家、日本を食べる」(マイケル・ブース著)が、7万部を突破する人気である。

 本書は2009年、「Sushi and Beyond」という原題で、イギリスで出版された。著者のブース氏が妻と二人の子供を連れて数か月日本を旅した際に出会った、数々のユニークで素晴らしい日本食に関する物語である。

 本書では、著者と家族が、沖縄から北海道まで旅をしながら、好奇心旺盛に、蛇のスープや、フグ、タラの白子まで何でも食べる様子が描かれている。彼らは、高級料理店の懐石料理から、下町の焼き鳥にいたるまで日本を味わい尽くしていく。その道中で、相撲力士や、ご長寿老人、アワビを取る海女さんたち、そしてSMAPにまで出会ったエピソードが収められている。
 
【アマゾンでトップ10入り、予想外の大人気】
 本書はイギリスで好評を博し、他の言語にも翻訳され、文学賞も受賞した。しかし、この本に日本人が興味を持つとは思ってもいなかったと、ブース氏はインディペンデント紙のインタビューに答えている。

 数年後、亜紀書房から外国版権の要請があり、原書のエピソードの半分が出版されることになった。しかし、2011年、東日本大震災が発生した影響で景気が下降した。出版自体が危ぶまれたが、ついに2013年2月、「英国一家、日本を食べる」という題名で出版された。

 出版から数週間後、日本のアマゾンのサイトで、自分の本がトップ10に入っていたのを見て、驚いて言葉がなかった、とブース氏は語っている。本書は亜紀書房の2013年のベストセラーになった。

 大好評となった本書のおかげで、ブース氏は、この二年間で三度目となる来日を果たす。日本に滞在中、彼は文学賞を受賞し、京都と大阪の書店でイベントを行い、日本のテレビ局に出演する。出演番組の一つは2時間特番で、もう一つは本書に基づくドラマシリーズ、そして三つ目は再び日本を訪れたブース一家を追うシリーズである。さらに、「英国一家、日本を食べる」では取り上げられなかったエピソードをまとめた二冊目の本についても出版予定である。本書を漫画化する話まで二つも出ている。

 なぜ本書はこんなに人気が出たのだろうか。日本人も知らなかった日本食の世界が描かれていた事が理由のようだ。また、イギリス人のユーモアも気に入られたのかもしれない。良い出版社に見いだされたのも運が良かった。敬愛する日本とその食文化に対する情熱に動かされて執筆した本が日本人に受け入れられて非常にうれしいと、とブース氏は語っている。

英国一家、日本を食べる(亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)

Text by NewSphere 編集部