羽生、男子SP史上初の100点超え!海外各紙は波乱のフィギュアをどう報じたか?

 五輪初出場の羽生結弦(19歳)(ANA)は13日、男子フィギュアスケートのショートプログラム(SP)で自身の持つ最高得点の記録を更新した。フィギュアスケート競技で史上初の100点を超え101.45点で首位に立った。世界大会で3度優勝しているカナダのパトリック・チャンは約4点の差で2位。3位はスペインのハビエル・フェルナンデスだった。

 なお日本、カナダ、スペインの各国とも、これまでオリンピックのフィギュアスケートで金メダルを獲得したことがない。

 男子のSPは羽生の史上初100点越えだけでなく、ロシアのエフゲニー・プルシェンコが棄権し、アメリカのジェレミー・アボットが派手に転倒するなど劇的な展開だった。

【震災を乗り越え五輪出場】
 3年前の2011年3月、仙台で練習をしていた羽生は東北震災の発生時、スケート靴をはいたまま練習場から逃げ出す経験をした、とニューヨーク・タイムズ紙は震災を乗り越えてオリンピックに出場したことを報じている。彼は101.45点を獲得し「これ以上ないくらい嬉しい」と話した。

 試合前、羽生は「足が震えた」とこれまでになく緊張していたことを明かしている。「オリンピック独特の雰囲気を感じていた。でも、他の大会と変わりなく演技しようと自分に言い聞かせた」という。

【「皇帝」プルシェンコ棄権】
 羽生の演技に先立って、登場したプルシェンコに地元ロシアの観客は熱狂的な歓声を上げた。しかし、リンクに出た彼が突然の棄権を表明すると、呆然とし静まり返った、と海外各紙はその衝撃を報じている。プルシェンコは棄権について、12日の練習で怪我をしたためと説明。13日の試合前のウォームアップでは、トリプルアクセルが跳べなかった。

 プルシェンコが、足を引きずりながらスケートリンクを退場する様子に、観客は衝撃を受け沈黙したが、次第に静かな賞賛に変わった、と英ガーディアンは人々の彼に対する敬意を報じている。

 米ニュースチャンネルGMAはプルシェンコ自身の発言を伝えている。「ウォームアップでトリプルアクセルを跳ぼうとしてバランスを崩した。そのとき、背中にナイフで刺すような痛みを感じたんだ。もう一度トリプルアクセルを跳ぼうとしたが、右足の感覚がなかった。それでもう無理だと思った」「痛み止めを4回飲んだけど、効かなかった。神様が「エフゲニー、もうやめてもいいよ」と言ってるんだと思った。もう充分だ」と話したという。

【アボットの勇気を称賛】
 アボットの勇気ある演技も観客の注目を集めたようだ。アボットは演技冒頭で4回転ジャンプを跳ぼうとし派手に転倒。倒れたまましばらくは起き上がれなかった。しかし立ち上がり演技を続行、トリプルルッツ、トリプルトウループのコンビネーションに観客は大きな喝采を送った。彼は「(転倒したとき)心の中で考えてた。『審判に演技を止めると言うか?それとも演技を続けるか?もう無理なのか?」って」「審判は曲を止めようとしているんじゃないか考えてたら、ハッと気づいたんだ。観客が声援を送ってくれてることに。だから、考えるのをやめて演技を続けなくちゃと思った」彼の点数は72.58点で15位となったが、「勇気賞」があったなら、受賞するのは彼だ、とGMAは賞賛している。

蒼い炎(羽生 結弦)

Text by NewSphere 編集部