「震災孤児への寄付を!」スケボー日本縦断に挑戦するNZ青年が話題


 ぼくの名前はジャック・コートニー。21歳でNZ在住―13年5月、こんな自己紹介で始まる寄付金募集が「ジャストギビング」のウェブ上で始まった。ジャストギビングとは、2001年に英国でスタートした、誰もが手軽にファンドレイジング(寄付金募集)を行うことを可能にするプラットフォームで、日本でも有名人を始め、多くの団体や一般人が活用している。ジャックが掲げる「大義」は、東日本大震災の孤児への支援だ。

 「かねてからの旅行好きで、日本にも長らく興味を抱いており、3・11後もその思いは変わらなかった。むしろ、震災について知るうちに、救援活動に参加したいと思うようになったんだ。そこで、昔からの趣味であるスケボーを使っての、日本縦断(札幌から長崎まで)チャリティーを思いついた。バックパックで、宿は取らないけれど、経費は自費で賄い、寄付金はすべて孤児が「津波」を乗り越えて、人生を取り戻すために贈るよ。孤児への支援を選んだのは、ぼく自身が、すばらしい家族に恵まれたから。東北地方ですでに、支援活動が行われているのは知っているけれど、彼らがこの悲嘆を乗り越えるためには、息の長い支援が必要だ……」

 ジャックはこう語り、9月7日に札幌を発ってからの旅のつれづれを、多数の写真と文章で、フェイスブックで公開し続けた。旅を終え、11月末には、目標額の1000ドルを集めることに成功し、支援者への報告とお礼の動画を公開したようだ。

 ジャストギビングやフェイスブックのサイトでは、アメリカ、ノルウェー、スウェーデン、オランダ、ニュージーランド、フィリピンなど各国から応援や賞賛のコメントが寄せられた。ただし、大手ソーシャルニュースサイト、レディットではもっぱら、チャリティーとは無縁の話題が採りあげられていた。

「日本ではスケートボードで公道走っちゃだめでしょ? たしか、法律で禁じられているハズ」
→「迷惑をかけないように、すごく気をつけている。人の多いところでは乗らないし。今のところ、お巡りさんたちにもたいてい、「ヘンなガイジン」としてお目こぼししてもらっているみたい」

「あんな坂道の多いところでよくやるね! ぼくならせめて自転車かな」
→「実際、大変。乗りっぱなしってわけにはいかないよ」

「行ったことがある。家に招いてくれる人なんかがいてさ。楽しかったな」
→「そう! それは本当にうれしい。すごく親切な日本人に会えたよ」

「自分もバックパックで日本縦断計画中。キャンプはどうやって?」
→「個人的な意見だけど、公道から離れすぎず近すぎずって場所がねらい目かな。日暮れ後にテントを張って、夜明け前に撤収するのがコツ」

 日本でも、震災孤児に対する募金は相当の額が集まり、市町村によってはすでに大学進学も見据えた十分な額が集まったとして、募金を打ち切ったところもあるという。その一方で、高齢の祖父母など、里親になったものの、将来に不安を残しているケースもあり、ジャックの言うように、長期的な支援が必要なのは確かなようだ。

 NZの若者がスケートボードの上から見た日本。その「いつもと違う」視点から切り取られた光景は、日本人にとっても、日本再発見の機会といえるのかもしれない。

Text by NewSphere 編集部