田中将大投手も一致? 大リーグ球団、日本人獲得の「7つのポイント」をハーバード教授が明かす

 米メジャーリーグ(MLB)の球団にとって、知名度・人気ともに高い日本人選手の獲得は利益をもたらす。ダルビッシュ、イチロー、松井秀喜の3選手の、メジャー入り当初の経済効果はおよそ500億円と算出されていた。

【MLB球団が日本人選手への投資を成功させる7つのポイント】
 ハーバード・ビジネス・スクールのステファン・グレイサー名誉教授(専門はマーケティングなど)は、各球団が日本人選手への投資に成功するためのポイントを7つ挙げた。

1.選手のポジション
日本人ファンとスポンサーを惹きつける意味で、ピッチャーよりも野手が有利。

2.選手の人気
選手の人気が高いことは、日本人ファンとスポンサーから収入を得るには必須条件。

3.日本からの直行便の有無
日本から観客を呼び寄せるには、乗り継ぎ便よりも直行便があるホームタウンのほうが有利だと思われる。ただし、直行便のインパクトがどれほどかを見積もるのは難しい。

4.日本からの距離
MLB観戦に訪れる日本人旅行者にとっては、日本からの距離が近いほうが望ましい

5.本拠地周辺の観光スポット
日本人旅行者にとって、本拠地に、球場以外にも観光スポットがあるほうが影響は大きい

6.本拠地の日本人コミュニティ
現地の日本人コミュニティが大きいほどファンを惹きつける

7.選手とチームのパフォーマンス
MLBでのパフォーマンスが悪ければ、日本での知名度や実績があろうと名声を失うことになる

 やはり最も重要なのは、選手の才能・パフォーマンス・人気だと同氏は指摘している。上記を踏まえ、テレビ放映権やスポンサー、グッズ販売などの収入が、投資額を上回れば成功といえるという。

【日本人メジャーリーガーの経済効果 圧巻はダルビッシュ】
 ピッチャーよりも野手のほうが有利なのは、野手よりピッチャーの出場機会(露出機会)がよ多いことを意味していると思われる。ただ、必ずしも絶対という訳ではないようだ。

 ダルビッシュ有選手のレンジャーズ入りが決まった当初、関西大学大学院教授の宮本勝浩氏は、経済効果はおよそ260億円と算出(アメリカで177億円、日本で82億円)。そのときの経済状況などさまざまな要因が絡むので単純比較はできないが、マリナーズ入りしたときのイチロー選手の50億円や、ヤンキース入りしたときの松井秀喜選手の180億円をはるかに上回る額だ。無論、3選手とも日本の球団に所属していたときからビッグネームで、日米での活躍は皆が知るところである。

 ダルビッシュ選手の今年の年俸は9億5千万円と高額であるが、彼がもたらす経済効果を考えれば、十分「成功」しているといえるだろう。

【ポイントに当てはまる選手、当てはまらない選手】
 今期24勝0敗という、驚異的な連勝記録を築いた、楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手のメジャー入りも囁かれている。現地メディアでは、ロスアンジェルス・エンジェルスやニューヨーク・ヤンキースなどが候補と報じられており、もし実現すれば、上記のポイントをほぼ満たすことになるだろう。

 一方、上記のポイントの例外となりそうなのが、ワールドシリーズに進出したレッドソックスの田澤純一選手。プロ野球を経由せず、実業団から直接メジャー入りした選手で、日本での知名度は高いとはいえなかった。しかしワールドシリーズでの活躍もあり、人気は上昇中だという。

Text by NewSphere 編集部