誰がふさわしい? 中国メディアが予想する「次の宮崎駿」

【中国でも大きな話題に】
 日本を代表するアニメ監督、宮崎駿の引退は、中国でも大きな話題となった。今や世界中で大人気の日本アニメだが、もちろん中国でもその人気は例外ではない。その中でも宮崎駿はやはり特別だ。描写の美しさはもちろんのこと、反戦的で平和を重んずるストーリーも高い評価を得ている。

 そんな彼の引退後、やはり気になるのは“後継者”問題である。新京報は「次の宮崎駿になるのは誰か」という記事で、日本のアニメ監督9名の名前を挙げている。

【古株から新興勢力まで】
 まず名前が挙げられたのは、宮崎駿とともにスタジオジブリを立ち上げ、「天空の城ラピュタ」のプロデューサーも勤めた高畑勲(78)。代表作「火垂るの墓」は、宮崎駿の細部までリアルに拘る描写とはやや異なるものの、素朴なタッチで描かれた戦火の中を助け合って生きる兄妹の姿が感動を呼んだ、と記事では評価されている。

 また「平成狸合戦ぽんぽこ」では奇想天外なストーリーで、これまでの自らの写実路線とはまた違うカラーを見せ、同時に宮崎駿のテイストも取り込まれている、と分析されている。

 次に、漫画好きの間では爆発的人気を誇る「AKIRA」の原作者、大友克洋(59)の名前も挙がった。記事では、漫画界では手塚治虫に次ぐ影響力があると評されている。アニメ代表作の「スチームボーイ」で描かれた機械の世界は、「ハウルの動く城」を髣髴とさせ、原作漫画の画風は宮崎駿のそれにかなり近いという。

 他には、「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」などを手がけた細田守(47)。細田氏とスタジオジブリの間には、実は苦い思い出がある。「ハウルの動く城」制作当初、宮崎駿により監督に抜擢されスタジオジブリに出向したものの、諸般の事情により同映画は途中で制作中止になってしまったのだ。

 しかしその後、細田氏は「時をかける少女」でヒットを記録。口コミでは、宮崎駿の息子・吾郎氏の作品「ゲド戦記」に勝ったという声もある。さらに、2009年公開の「サマーウォーズ」では観客満足度96%を記録し、子供からお年寄りまで楽しめるSF日常アニメとして評価された。

 この他にも、「エヴァンゲリオン」の庵野秀明(53)、「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎(48)、「マインド・ゲーム」の湯浅政明(48)、「攻殻機動隊」の押井守(62)、「秒速5センチメートル」の新海誠(40)、宮崎駿の息子で「コクリコ坂から」の監督、宮崎吾郎(46)の名前が挙げられた。

【宮崎駿を目指す中国の若者たち】
 なお中国でも、「次の宮崎駿」を目指す、クリエイター養成のための学科が発足した。上海視覚技術学院と徳稲教育が合同で「SIVA・徳稲実験科」を発足させ、入学式が15日に行われた。同科には、商品設計やアニメの専門科から57名の生徒が集まった。

 龚学平学院長は、「君たちの中から、中国のスピルバーグや宮崎駿が誕生することを祈っている」、「アニメの世界でも中国の名を轟かせてくれたら、と思っています」と入学式で抱負を語った。

Text by NewSphere 編集部