40分の空中旅行 世界最大の観覧車、日本に現る?

 オランダの建築事務所UNスタジオが、巨大観覧車「ニッポン・ムーン」の設計に取りかかっており、日本に出現すると報じられている。

 日本でレジャー施設などを運営する、フェリスウィールインベストメント株式会社が、UNスタジオに委託し、車輪工学の世界2トップであるアラップ社と三菱重工、そして伊デザイン会社のエクスペリエンティアが開発に加わっている。

 それぞれ違うテーマを持った32個のカプセルが、40分で1周する設計で、2階建てのカプセルもあるという。

 特徴的なのは、スマホやタブレットの専用アプリをダウンロードすれば、搭乗時に拡張現実を体験でき、ほかの乗客とコミュニケーションがとれる点だ。

 また、空港での搭乗手続のようなシステムで待ち状況が確認でき、搭乗までの時間を施設内でショッピングや飲食をしながらリラックスして過ごせる。

 UNスタジオの創設者ファン・ベルケル氏は、「夢の観覧車であり、時間と空間を旅する新たな手段だ」と語る。同氏はドイツにあるユニークな二重らせん構造のメルセデス・ベンツ博物館を設計した人物で、ニッポン・ムーンの施設もらせん構造となる見込みだ。

【高さは世界一?】
 ニッポン・ムーンが、日本のどこに建設されるかは発表されていない。

 高さも明かされていないが、ファン・ベルケル氏はワイアード(英)に、英国の巨大観覧車「ロンドン・アイ」(高さ135m)の2倍の規模だと示唆したという。

 なお、現在世界最大の観覧車は、高さ165mの「シンガポール・フライヤー」である。

【ニッポン・ムーンの概念】
 UNスタジオは、「日本文化におけるフェリスウィールの注目度や、東南アジアから何百人もの観光客が流れ込む可能性を鑑みると、このプロジェクトは国際的なインパクトを持ち、既存の観覧車と大きく異なる必要がある」と意気込みを見せている。

 また、ニッポン・ムーンの主要なテーマは、「感覚拡大」「双方向性」「体験」「ロマンチシズム」だという。中でも「ロマンチシズム」は、工学の新たな発展と現代日本文化の不可欠な部分として歴史上で認識されるために重要だとUNスタジオは語っている。

 建築・デザインニュースサイト「Bustler」は、観覧車自体の概念は新しくないが、堅牢な設計と統合された仮想世界のアイデアは、ニッポン・ムーンの特色となると論じた。

 ワイアード(英)は、資金不足のため現時点では設計段階にとどまっていると指摘したものの、十分な資金を調達できれば、日本で新しい象徴的な体験ができるようになるだろうと期待を示している。

Text by NewSphere 編集部