英、日本企業引き止めも 駐英大使「利益出なければ去る」 不透明なブレグジット後

Drop of Light / Shutterstock.com

 イギリスのメイ首相主催のビジネス・ラウンドテーブルが2月8日に開催され、在英日系企業18社の代表と鶴岡駐英大使が参加し、EU離脱を踏まえたビジネス環境の確保について、英閣僚との間で議論を行った。会談後のインタビューに答えた鶴岡大使は、「利益が出なければ日本企業に限らずイギリスに留まる企業はない」と苦言を呈し、EU単一市場へのアクセス維持の重要性を強調した。

◆日本はイギリスの主要貿易国。日系企業の不安は大きい
 ウェブ誌『クオーツ』によれば、イギリスにとって日本は10番目に大きい貿易相手国で、約1000社の日系企業がイギリスにあり、14万人の雇用を生んでいる。EU離脱が決定した後、日本の金融機関が拠点を他のEU加盟国に移転すると発表したり、日産がイギリス工場の業務を他へ移動する可能性を示したりしており、離脱後が見えないことが、両国の貿易関係に影を落としている。

 このような状況のもと、大使の発言は英メディアに重く受け止められたようだ。インデペンデント紙は、ブレグジットによって日本企業が受ける影響への懸念をありのままに表した発言だと解説する。フィナンシャルタイムズ紙(FT)は、EUとの最終合意への準備期間において、メイ首相のブレグジット交渉担当者たちが「一か八かの賭け」に出ていることへの警告としている。

Text by 山川 真智子