日本の「クリエイティブ生産性」は世界一? 投資少ない割に特許や技術が優秀との評

 アジア開発銀行(ADB)が9月12日に発表した「クリエイティブな生産性指標」(Creative Productivity Index)において、アジア・オセアニアの22ヶ国のうち日本がトップとなっている。また、比較対象としてフィンランドやアメリカを含めた24ヶ国のうちでも、日本は1位の結果となった。

【創造性をいかに効率よく結果として出せているかを計る指標】
 この指標(CPI)は、アジア開発銀行がイギリスのエコノミスト誌の研究部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」と開発したもの。その国が、いかに創造性を経済性のある結果として効率的に出せているかがわかる。

 指標は、36項目の「インプット」と8項目の「アウトプット」から成り、「インプット」では、イノベーションのための環境や投資などが測られ、「アウトプット」ではそこから生み出された結果が見られる。具体的には、「インプット」は、研究開発への投資費用、優秀な大学などの研修施設の数、知的財産権の保護など、「アウトプット」は、特許申請の数、技術やシステムなどのソフト面での輸出、高い付加価値のある農産物の生産などである。

 トップ5として、日本、フィンランド、韓国、アメリカ、台湾と続いた後は、香港が7位、シンガポールが10位、中国が11位となっている。

【日本が高い結果を出せた理由】
 結果について、シンガポールの英語ニュース放送チャンネル・ニュースアジアは、シンガポールとの比較において、日本やその他の国々がクリエイティブ創造性へのインプットは低いものの、特許申請数や本や映画の製作数などで優れた結果を出せているために高い評価を得たことを伝えている。

 また、ドイツの公共放送ドイチェ・ベレのインタビューで、アジア開発銀行担当者は、日本や韓国などの国々でのイノベーションへの重要な要素として、GDP比率にして高い投資を研究開発へ行っていることと、高いレベルの教育システムを経済成長戦略へのニーズや優先事項と結びつけて構築していることを指摘している。

 アジア開発銀行によれば、このCPIの特徴は、ほかの指標とは違い「インプット」と「アウトプット」の比較に焦点を当てているので、どれだけ効率的に「クリエイティブ生産性」が行われているに重点が置かれている点である。

 そのため、フィンランドが「インプット」では6位「アウトプット」では1位、アメリカが「インプット」「アウトプット」ともに3位でありながら、「インプット」が8位「アウトプット」が4位の日本が、総合で1位となっている。

【CPIの結果を受けて期待されるもの】
 アジア開発銀行では、「クリエイティブな生産性」は知識集約型の経済成長において重要な要素であり、この指標の結果をより良いイノベーションや創造性を作り出すための環境整備への政策作りへ反映させるよう提言している。

 また、ドイチェ・ベレの「創造性やイノベーションがアジアで果たす役割とは」「クリエイティブなアウトプットを増加させる政策で誰が得するのか」の質問に答えて、アジア開発銀行の担当者は、経済成長率の維持に創造性やイノベーションが欠かせないこと、イノベーションに基づいた成長が高付加価値を求める経済システムで高いシェアを得られることを指摘した上で、貧富に関係なくアジアのすべての国々が創造性への投資を確保することを提言している。

 このことは、日本が効率的なイノベーションの結果を出すような政策作りや社会システム構築において、アジアの国々で大きな役割を果たすことができることを示唆していると言えるだろう。

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Text by NewSphere 編集部