FRB動向に翻弄されるアジア市場 金融危機は再来するか?

 20日のアジア市場は全般に低迷した。特にインド、インドネシア、マレーシア、タイなど東南アジアが顕著で、インドルピーが対ドル64.11の記録的な安さになるなど、通貨や株式、商品などが軒並み大きく下がった。各国の金融当局は介入などの動きに至った。

 日経平均株価が2.6%、香港ハンセン指数が2.2%下落するなど、他のアジア各国にも影響が及んでいる。黒田日銀総裁は、資産購入キャンペーンのさらなる拡大をも辞さないとして、平静を呼びかけた。

【外国投資頼みの東南アジア】
 各紙は、もともと米連邦準備制度(FRB)の量的緩和策によって安い外国資金が潤沢に流れ込む構造に、アジア経済は依存していたと指摘する。

 また、こうした資金がアジアでの大規模な信用インフレバブルにもつながっていたという。これによりアジアは高い成長率を享受したものの、フィナンシャル・タイムズ紙は、本来その時間を利用して構造改革を進めるべきであった、アジア金融危機が再来する、などとのアナリストの声を伝える。

【用済みの避難先】
 そのFRBは今、緩和縮小の時期を注視されていた。今回のアジア市場低迷は、6月のFRB政策会合議事録の発表を投資家たちが皆、待ったためだと報じられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米国では失業給付申請が6年ぶりの低さに減っており、FRBの緩和縮小が意外に早くなるのではないかとの憶測があった。米国の金利上昇も、アジア新興国からの投資引き揚げにつながる懸念があり、それが「投資家に、各国固有のリスクにもっと注意を払うよう強いた」と評する専門家もいる。

 米国のほか、ユーロ圏も第2四半期プラス成長に復帰したことが報じられるなど、先進国は回復しつつあると見られている。これに対し、債務急増中であるタイは逆に景気後退に突入、インドネシアやマレーシアでは貿易不均衡が悪化、インドはルピーの下落原因であるとして個人のテレビ免税輸入を禁止するに至るなど、東南アジア経済は最近、不安な状況にあった。

Text by NewSphere 編集部