ワイングラスのサイズに注意! 大きいと知らずに飲む量も増加 調査結果

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 ワイングラスを購入する際、大は小を兼ねるという考えは捨てたほうがよさそうだ。サイズの大きいグラスでワインを飲む人の飲酒量は、普通のサイズでワインを飲む人より多いということが調査で明らかとなったのだ。注ぐ量が変わらずともグラスが大きいと、我々は知らず知らずのうちに酒が進んでしまうらしい。

◆三つの異なるサイズのグラスの売れ行きを追跡
 テレサ・マルトー氏率いるケンブリッジ大学の研究チームが、ケンブリッジ周辺のレストランやバーのあるエリアで調査を実施した。同エリアでは普段、ワインはグラス(125mlか175ml)、ボトル(500ml)、カラフェ(ワイン入れ、500mlか1000ml)というメニューで販売されていた。また全てのグラスのサイズは容量300mlのものでが使用されていた。

研究チームは同エリアでそれまで使用されていた容量300mlのグラスの他に、より大ぶりな容量370mlのグラスと、小ぶりな容量250mlのグラスを導入させ、それぞれ二週間の期間を複数回設けて売れ行きを調査した。それぞれのグラスは、サイズに違いはあるものの似たような形をしたものだ。それぞれのサイズのグラスは、ワインがグラスワインで注文されるときだけでなく、ボトルやカラフェで注文されるときでも使われた。

最大14%もの消費量アップ
 グラスのサイズが370mlの時の売り上げは、300mlのときと比較して、レストランとバーの合計で9.4%、バーだけであれば14.4%の増加が見られた。サイズが大きいグラスでワインを提供されたときだけ、ワインの消費量が上がったのである。

 同研究チームは、いつもより大きいグラスのサービスを受けた者は、ワインの量を少ないと感じてしまうのだと推測している。その結果、ワインを飲むスピードがあがり、新たにワインを注文することも多くなるのだという。なお、この研究では通常よりも小ぶりのグラスで提供された際の影響については、結論が出ていないとのことだ。

◆普段のグラスや食器のサイズが常識を作り上げる
 普段提供されるグラスの大きさや食器の大きさなどが、どれくらい飲み食べるのかが適切かを決める社会的・個人的規範を形成すると同研究チームは予想している。テレサ・マルトー氏は夕食にスープを食べる二組のカップルを例に挙げて、この考えを説明している。一組のカップルのスープの食器には底がなく、下から徐々にスープが補充される一方で、もう片方は普通の食器を使っている。このとき最初のカップルは提供されたスープの二倍もの量を食べたが、満腹感は普通の食器で食べたカップルと変わらないというのだ。

 ワイングラスに限らず、食器などにもこうした結果は当てはまるだろう。グラスや食器の容量は我々の飲酒量や食事量に強い影響力を持っているのだ。ダイエットに悪戦苦闘するものは、どのような食材をとるかということに目が行きがちだ。しかしダイエット成功の鍵となるのは、グラスや食器のサイズを変えるということにあるのかもしれない。また、健康のために飲酒量を抑えたい人にとっても、この研究はヒントになるだろう。

Text by Yota Ozawa