ラジオ大好きアメリカ人、テレビ、スマホより高い利用率 ネット配信は1億7,000万人利用

◆ラジオという情報ソースをうまく利用するアメリカ人
 エディソン・リサーチ社は2000年から12歳以上のアメリカ人のオンラインラジオのリスナー率を調査しているが、それによると2017年調査の月間ラジオリスナーは61%、聴取者推計値は1億7,000万人に達したとされる。年齢別では12~24歳の利用率が87%、20~55歳が70%だが、55歳以上になると32%と下がる。インターネットやスマートフォンの利用が前提だからだ。1週間の聴取平均時間は14時間39分(1日約2時間)となり、2017年は過去最長を記録した。またスマートフォンなどの利用者が車のオーディオシステムと連動させている率は2017年で40%となり、スマートフォンを片手にアウトドアでもラジオを楽しんでいる様子がうかがえる。

 2013年のクリア・チャンネル・メディア&エンターテイメントの調査結果によると、66%の回答者がラジオはテレビよりも親近感があり、78%がDJからの最新の情報を頼りにし、80%が新曲の発掘の助けにしているとする。また70%が音楽配信サービスはラジオを代替するものではないと答えているのも興味深い。同じ調査結果を引用したメディア企業のiHeart MEDIA INCでは、CDや音楽ストリーミングサービスとラジオの使い分けはなされていて、十代の63%が2つ以上のオーディオプラットフォームを使用し、その中でもラジオがもっとも人気が高いとしている。好みの楽曲などはCDやストリーミングでコレクションし、新曲や新しいアーティストはラジオで知るという使い分けだ。ラジオが人気の理由はアクセスのしやすさ、タイムリーなニュース配信、交通や天気の情報発信、そしてパーソナリティとの関わりや最新の楽曲を知ることができる点にあると述べている。

 日本ではラジオというと、その昔は深夜放送を聞く若者のイメージがあった。現在ではその世代が中高年になったからか、若者向けの放送プログラムは少ないように思える。変わらない構成で昔ながらのDJがトークするのがリスナー離れを防ぐ手段になっているとの見方もある。テレビ局もそうかもしれないが、思い切った変革には及び腰になる状況なのかもしれない。文化の違いとはいえ、かたやアメリカでは12~24歳のオンラインラジオの聴取率は87%で、まだリスナーを増やしている。

 日本の若者も音楽は好きなはずなので、ラジオが身近なメディアとして支持される余地はないものだろうか。合間のニュースや番組内の情報は、テレビや新聞と同様に、自分と関わりの薄かった世界との接点となり、長い目でみると役立つものだ。なんでもチョイスができるデジタルメディアの時代だからこそ、そういう偶然の出会いを演出できるメディアの存在価値も高いはずである。

Text by 沢葦夫