投票率低下で、社会保障給付の差が7万5千円開く?

 7月21日、第23回参院選の投開票が全国で行われる。日本各紙は、自公が過半数を獲得して「ねじれ国会」が解消されるかどうかに注目している。さらに、論点としては、経済政策、憲法改正などを挙げている。
 投票日当日、各紙は社説でどのような主張を行なっているのか。

【朝日、毎日は若者向けメッセージ】
 朝日新聞は、若者に強く投票を呼びかける内容だ。
 若者世代の切実な問題として、雇用を挙げている。大卒でも4人に1人は非正社員で、正社員との収入差は開くばかり。正社員でも、若者を「コスト」として使い捨てるブラック企業もある。一人一人が能力を磨いて働き、望めば家庭をもち子どもを育てられる社会でなければ、「日本の将来は危うい」と危機感をにじませる。
 それでも、誰に投票すればわからないし、1票投じても意味ないと考えている、という声はあると予測。そういう人に対しては、投票率が下がれば社会保障給付の差が7万5千円開くという試算や、投票率が上がれば政治家はそこを狙って動くはず、という見方を紹介している。

 毎日新聞も、若者世代を中心に、投票率の低下が予想されることを危惧している。「投票したくなる政党がない」という人には、自分が大切にする政策を一つに絞り、近い考えを訴える政党を選んでは、と提案した。なお同紙は、自分と政党との政策一致度がわかる「えらぼーと」というサービスを展開している。

【読売は3つの論点に着目】
 読売新聞は、ねじれ国会解消、原発、憲法改正の3点について社説を展開している。
 まず、経済、社会保障、外交など、課題が山積する政治の活性化のためには、「ねじれ国会」解消が重要という姿勢だ。民主党は、ねじれ解消は与党の暴走につながると主張しているが、今回ねじれが解消されれば、野党の「(与党への)歯止め」が有権者に評価されなかったことになると断じている。
 次に原発については、一部野党の「脱原発」主張を批判。代替エネルギーの確保策や火力発電の燃料コスト大幅増の問題と合わせて論じるべきとしている。
 最後に憲法改正については、改正発議要件の緩和、自衛隊の存在の明記、環境権などの追加、道州制の導入など、「新しい国のかたち」を決める重要な政治課題となると指摘。この観点も投票の参考になると主張している。

【憲法改正主張する産経】
 産経新聞は、「憲法改正」への意欲が他紙に比べて前面に出ている。「最大の争点の一つ」と言い切るとともに、国民の間でも支持が拡大している、とみているようだ。
 同紙は、自民・維新が憲法の発議要件を緩和する96条改正を主張し、安倍首相が9条改正について語ったことにふれたうえで、「9条を変えなければならない」と主張。自衛権の制限を問題視している。
 また同紙は、原発再稼働の推進、アベノミクスなど与党の政策を評価する一方、対する民主党など野党の批判が具体性に欠け無責任だと批判している。

Text by NewSphere 編集部