東通原発の「活断層」認定は是か非か 各紙社説で激しく論争

 原子力規制委員会は18日、東北電力東通原発(青森県)の敷地内断層は、「13万~12万年前以降に活動した活断層の可能性が高い」との報告書案について、大筋で合意した。今後、調査団以外の専門家からも意見を聞いた上で、報告書を取りまとめて規制委に提出する。
 現在運転を停止している東通原発1号機について、東北電力は断層調査や耐震補強工事が必要になり、再稼働の見通しは立たない状況だ。
 これを受けて、読売・産経両紙は、規制委の評価手法等を批判。一方朝日新聞は、そうした批判が的外れであると指摘した。

 まず、読売・産経両紙は、規制委専門家チームの人選が偏っており、評価作業は「公正さに欠ける」と批判した。報告書案については第三者評価が予定されているが、産経新聞は“報告書案の考えに反対の意見を持つ専門家に依頼すべき”と主張している。
 読売新聞は、報告書案を東北電力側に知らせなかった点を非難し、“事前に報告書案を送付し、適切なデータに基づいて論議”すべきと主張している。
 また同紙は、規制委専門家チームが東北電力に対し、「100%活断層なし」の証明を課したことは、“今の地震学の水準では不可能”と非難した。
 総じて両紙とも、規制委専門家チームが、原発を再稼働させない前提で調査報告を進めていると疑い、「原発の安全性向上」という本来の任務に取り組むべきと主張している。例えば、活動度の低い活断層リスクを過大評価するのではなく、原発の耐震性が十分かチェックするなどだ。

 また、再稼働が遅れることで、東北の復興が遅れるという批判も両氏は行なっている。実際東北電力は電気料金の値上げを決めている。産経新聞は、 “国力の衰退をが避けられない”と危機感をあらわにし、安倍政権の政治判断・対応を求めている。

 一方朝日新聞は、上記のような批判に対し、「中身が薄い」と一蹴した。
 まず「人選や評価の偏り」という批判に対し、何を持って「偏り」というのか、と投げかけている。根拠として、専門委員は活断層学会などの推薦を受けており、その学会から異論が出ていないことを挙げた。「再稼働したい」という意に沿わない意見を、「偏り」として封じる姿勢を糾弾しているといえる。
 さらに、「経済への影響を無視」という批判についても疑問を呈している。経済性は重要な論点と認めた上で、科学的な見地から安全を確認する規制委にそれを求めるのはおかしい、という主張だ。むしろ、中立・独立を保つために、事務局である原子力規制庁の人事・組織改革が必要と批判している。

Text by NewSphere 編集部