自・民対立の元凶「事前報道ルール」の問題点とは?

 国会同意が必要な人事案において、事前に報道された場合それを認めないという「ルール」のあり方が議論の的になっている。
 
 各紙は、昨年9月下旬から空席である公正取引委員会の委員長に、杉本元財務次官(62)を充てる人事案を固めた、と報じた。8日、衆参両院の議運委理事会で上記を含む人事案が提示される予定だ。しかし民主党の輿石参院議員会長は、「事前報道ルール」を理由に人事案提示の先送りを求めている。なお「事前報道ルール」については、参院の議院運営委員会が6日の理事会で、当面存続させることを確認していた。
 報道にとって大きな障害といえるこのルールについて、各紙は問題点を指摘した。

 各紙に共通する基本的な姿勢は、事前報道ルールは「悪弊」であり、「廃止すべき」というものだ。

 第一に、メディアが人事案を取材し報道するのは、国民の知る権利に応えるためであり、それを否定することは不適切という主張がある。読売新聞は、報道規制につながる危険性を指摘するとともに、意図的な漏洩で人事案をつぶす、といった悪用もありえると指摘した。

 第二に、そもそも事前報道があったかどうかと人事同意の判断には何の関係もないという主張がある。朝日新聞は、ルール発足当初、「政府が意図的に人事案を漏らすことで既成事実化し、国会審議が形骸化する」と説明されたことを“おかしな理屈”と断じた。国会同意人事は、当人の資質や識見から適格性を判断するべきと指摘している。

 第三に、このルールを野党が政権を揺さぶる駆け引きの手段として利用することで、「決められない政治」になるという批判がある。3月19日の辞任を表明した白川日銀総裁の後任人事への影響も懸念されている。
 「与党時代に苦しんだ」(細野幹事長)経験からルール廃止に前向きだった民主党が、「抵抗野党」化したことを各紙ともに強く非難している。加えて産経新聞は、ルール撤廃を見送った自民党の対応についても疑問を呈している。

Text by NewSphere 編集部