取締役会は「炎に立ち向かう勇気」で不確実性に満ちた2017年の舵を取るべき(デロイト提言)

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 デロイト グローバルは、非業務執行取締役が不確実性に満ちた2017年の舵取りを進めるにあたって、考慮する必要のある重要事項について分析したレポート「Directors’ Alert 2017」を取りまとめ、監査法人トーマツが日本語版を発表した。

 今回で8回目の発刊となる本レポートは、「炎に立ち向かう勇気:ディスラプションを積極的に活用する」と題され、デロイトのグローバルネットワーク各地のリーダーの見解をまとめ、世界中の取締役各氏と対談し、取締役が2017年に直面すると考えられる主要な課題と、長期的な成功への障害を克服するために活用できる戦略を論じる特集をしている。

「取締役会に対する世間の目が厳しくなり、テクノロジーの変化が加速するにつれて、取締役会がどこまで責務を果たす態勢を整えているのかが重要な課題となっています。」と、デロイト グローバルのシニアマネジングディクレクターであるダン・コニグズバーグ氏は述べる。

 本レポートにて、取締役会が直面する課題として指摘されているいくつかを以下に紹介する。

◆不確実性に対する戦略
 地政学的な出来事、テクノロジーにおけるディスラプション、サイバー攻撃リスクの高まりといったすべてのことが相まって、極めて予測困難なビジネス環境が形成されてきた。このような不確実性とディスラプションの時代を迎えて、戦略の策定と実行が今までになく重要となっている。

 戦略を本当に差別化するもの、それは勇気だ。ビジネス戦略という領域に限定して言えば、それは、勇気ある対話を行い、勇気ある検討の口火を切り、勇気ある選択を行ってそれを実行する積極的な意欲だ。取締役は、戦略に勇気を注ぎ込むことに挑まなければならない。

◆文化を主導するのは取締役会
 今日、改めて戦略を推進するうえで文化が与える影響の重要性が見直されている。本レポートでは、文化の重要性が端的に明らかになるのは、おそらく物事がうまくいかないときであると述べている。文化と戦略の不一致は、戦略目標を達成する組織の能力を減じるだけでなく、戦略を完全に挫折させ、組織の評価を大きく損なうことがあるからだ。

 企業文化を後から反省するだけでは事足りない。組織のリーダーは、取締役会であれ、経営幹部であれ、組織の文化的なあり方や傾向を定め、模範を示して主導する必要がある。さらに、文化的な傾向を継続して見極め、それが基本戦略を支援するか阻害するかを判断する必要がある。

◆イノベーションの担い手として
 将来に備えて、組織はどのような外部要因がビジネス上のディスラプションにつながり、どのような内部要因がディスラプションへの対処の妨げとなっているかを理解しなければならない。ディスラプションとイノベーションが組織の骨組みの一部となっていなければ、現在の環境で長期的な成功を維持することは非常に困難だ。

「取締役会と経営陣は、自らのビジネスモデルや手法、プロセスに関して、たとえそれらがまだ結果を出し続けていたとしても、ディスラプションを引き起こす勇気を持つ必要があります。取締役会がイノベーションに取り組んでおらず、組織がどのようにディスラプションへの舵を取り、取り組んでいるか、どのように新しいエコシステムを形成しているか、そしてどのようにオープンな人材市場を活用しているかについて質問していないとしたら、その組織は重要な機会を見逃しているかもしれません」と、デロイト グローバル センター フォー コーポレートガバナンスのマネジングディレクターであるマイケル・ラッセン氏は述べる。

 その他の課題として、以下の領域がレポートでは指摘されている。企業の舵取りに日々頭を悩ませる取締役は必見だ。

テクノロジー:デジタルの世界での組織の整合性を取り戻す
報酬:すべてのステークホルダーが注目する役員報酬
取締役会の有効性:集団的知性と思考の多様性
透明性:情報開示の拡大は透明性の増大を意味するのか

Photo Alkestida/shutterstock.com

Text by 酒田 宗一