スタートアップ創業者に最も賞賛されているテクノロジーリーダーとは(米調査)

 スタートアップの創業者というと、カリスマ性があり固定概念に囚われない存在として、ある種の憧れの対象でもあるだろう。そうしたスタートアップの創業者たちにとって、憧れの創業者とは誰なのだろうか。UberやBlue Apronなどに出資している米ベンチャーキャピタルのファースト・ラウンド・キャピタルによるレポート「State of Startups 2016」では、700名以上のスタートアップ創業者を対象に、最も賞賛するテクノロジーリーダーは誰かを調査している。

 最も多くのスタートアップ創業者から賞賛されているのは、スペースXのCEOであり、テスラ・モーターズのCEOでもあるイーロン・マスクだ。氏は調査対象の創業者の23%の賞賛を集めた。なお、2015年の調査でもトップはイーロン・マスクだった。イーロン・マスクに続くのは、Amazon.comのジェフ・ベゾスで10%の賞賛を集めた。そして、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグが6%、アップルの故スティーブ・ジョブズが5%の支持を集めた。

 女性で最も多くの賞賛を集めたのは、Facebook初の女性役員となったシェリル・サンドバーグで、結果は1%の支持であった。また、女性のテックリーダーが集めた支持は、全体で5%であった。スタートアップ創業者の憧れは、ほとんどが男性テックリーダーに向けられているのが現状のようだ。

 イーロン・マスクが他のテックリーダーに比べて多くの賞賛を集めている理由の一つとしては、その飽くなき挑戦の姿勢ではないだろうか。オンラインコンテンツ出版ソフトのZip2社の起業と売却から始まり、PayPalの前身となるオンライン決済サービスのX.com社、宇宙ビジネスのスペースX社の起業と、電気自動車のテスラ・モーターズ社への投資とCEO就任、輸送機関ハイパーループ構想の提案など、一人の人間が行っているとは思えないほど産業を飛び越え、多岐にわたった活動を同時並行的に行っている。そして、どの領域も誰もが実現不可能ではないかと思うような高いハードルが存在する。こうした現在進行形で挑戦する姿が、スタートアップ創業者を惹きつけているのではないだろうか。

photo via flickr | Joe The Goat Farmer

Text by 酒田 宗一