中国生産車の品質、もう心配なし? GMが米国に逆輸入へ 他社も追随で世界的な流れに?

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、米ゼネラルモーターズ(GM)が、中国で製造した自社ブランド車を米国に輸出する計画だと報じた。これまで品質面での不安から、欧米では売れないと言われてきただけに、中国製アメ車の初輸出に、注目が集まっている。

◆中国で人気のビュイック
 WSJによれば、GMが中国からの輸出を考えているのは、中型のSUV、ビュイック『エンビジョン』だ。ビュイック・ブランドは、米国内ではしばらく低迷していたが、近年ではミシガン州で製造する大型のクロスオーバーSUV『アンクレイブ』と、韓国で製造するコンパクト・クロスオーバーSUV『アンコール』がヒットし、業績が回復しつつある。

 米国内の不振とは対照的に、ビュイックは中国市場で急速に成長。GMカーとしては、『五菱(ウーリン)』とともに、中国におけるツートップ・ブランドとなっている。中国では10月だけで10万台以上を売り上げており、シボレーやキャデラックを上回る販売台数を誇っている(WSJ)。

 WSJは、今GMが中国産車の米国販売を目指す理由として、中国の需要が落ち着いてきたこと、米中の車の好みが近づいてきたこと、コストが低いことなどを挙げている。世界の自動車会社は、品質への懸念から、中国の現地生産車の欧米向け輸出には消極的だったらしい。ところがGMに先駆け、中国吉利汽車傘下のボルボが、今年初旬から中国製のセダンを米国に輸出。チャイナ・デイリーによれば、アナリストたちはこれがGMの動きを後押ししたと見ており、他社も追随すると読んでいる。

◆中国産車の品質は大幅アップ
 メディア、自動車業界は、中国製『エンビジョン』が、米国でどう受け止められるかに注目している。

 米国の販売ディーラー、ジェリー・セイナー氏は、今は外国製という理由で購入を控える消費者は減っていると説明。中国製ビュイックでも、消費者の期待に応える品質であれば売れるはずだと述べる。投資調査会社モーニングスターの自動車アナリスト、デビッド・ウィストン氏は、「(米国のビュイックには)中型のクロスオーバーがない。ファミリー向けには『アンコール』は小さすぎるし、『アンクレイブ』は大きすぎて値段も高い」と述べ、『エンビジョン』は既存2種のギャップを埋めることができると見ている(チャイナ・デイリー)。

 ブルームバーグによれば、中国製車両の品質は年々向上しているという。米コンサルティング会社のJDパワーの初期品質調査では、中国での新車購入者からのクレームは、今年100台あたり105件で、2010年の168件に比べ大幅に低下。米市場の平均112件をも下回る数字となった。JDパワーの自動車アナリスト、ジェフ・ブロデリック氏は、生産ラインで経験豊富な労働者が増え、オートメーション、品質管理の工程も向上しており、中国車の競争力が増したと述べている(ブルームバーグ)。

◆メイド・イン・チャイナは時代の流れか?
 一方、ライバルの多くが中国で生産をするなか、日本製にこだわり続けているのがトヨタのレクサスだ。レクサス・インターナショナルの山本卓副社長は、「メイド・イン・ジャパンは品質を保証する」とブルームバーグに語る。10月に初めて、レクサスは海外での組立てを開始したが、「車づくりの歴史が長く、考え方において共通点がある」米国とカナダを選んでおり、「品質へのリスクが中国ではあまりに大きい」ことから、中国での生産は当分ないとのことだ。

 しかし、価格面でレクサスが劣勢なのは明らかだ。ブルームバーグによれば、中国でのレクサスISセダンの価格は、同クラスの中国製ドイツ車の30~35%増し。昨年のレクサスの世界販売台数は58万3000台だったが、中国での販売はその15%ほどだという。ライバルBMWは、中国だけでレクサスの世界販売数を上回る数を売り上げ、現地生産の恩恵を受けている。

 ウェブ誌『Cheat Sheet』 は、製造のグローバル化が続くことにより、自動車業界の様相も変わるのは明らかだと主張。すでに多くの製品が中国や東南アジアで作られていることを考えれば、車の多くが「メイド・イン・チャイナ」になるのを想像するのはそれほど不自然ではないと述べる。

 価格もさることながら、品質でも競争力を増す中国製自動車。今回のGMのような動きは今後加速する可能性がある。

Text by 山川 真智子