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孫氏も悩んだ? Googleの携帯参入、スプリントら通信網提供 “サメを水槽に入れた”と現地紙

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孫氏も悩んだ? Googleの携帯参入、スプリントら通信網提供 “サメを水槽に入れた”と現地紙

 Googleがアメリカで携帯電話事業に参入する。同社は22日、携帯通信サービス「Project Fi」を発表した。月額料金設定が低く抑えられており、米携帯電話業界に値下げ競争を引き起こすかもしれないと、多くの米メディアが報じている。自社の通信網は持たず、MVNOとして、加入者数で米第3位のスプリントと、第4位のTモバイルUSの通信網を使用する。また、フリーのWi-Fiスポットも活用する。

 スプリントは、孫正義社長率いる日本のソフトバンクが、2013年7月に、216億ドル(約1.8兆円)かけて買収・子会社化した。孫氏はさらにTモバイルUSを買収することも期していた。両社を合併させることで、第1位のベライゾン、第2位のAT&Tに対抗しようとしたのだ。しかし、米国当局がこの計画に難色を示し、ご破算になった経緯がある。今回、Googleを介することで、この2社が手を結び、上位2社に挑むかたちとなった。

◆携帯電話業界の「慣例」を変えていくGoogle
 「Project Fi」の使用料は、まず基本料金が月額20ドル。これには無制限の国内通話、メール送受信などが含まれる。その上に、モバイルデータ通信が1GBあたり10ドルとなる。当月内に通信量を使い切らなかった場合、残りの100MBあたり1ドルが翌月の料金から引かれるのが特徴だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙(記事1)は、月に3GBのデータ通信を行う場合、他社より10~25ドル安く上がる、というアナリストの試算を紹介している。

 Googleはまた、速度と安定性のしっかりした全米100万ヶ所以上のフリーのWi-Fiスポットを選定しており、「Project Fi」は、利用できる場合は優先的にそちらに接続する。この場合、データ通信量は発生しない。

 こういった設定について、WSJ紙(1)は、「業界の典型的な慣例から脱却して」いる、「収益性の高い慣例の多くに挑戦を突きつける」と語っている。「慣例」というのは、使い切らなかった通信量が無効となってしまうことなどだ。

◆携帯料金の値下げ競争を激化させるか
 USAトゥデイ紙は、Googleの携帯電話事業への進出は、Google自身と、業界と、消費者にとって大きな意味を持つ、と語る。Googleが、破壊的な変革の主体になるのは、今回が初めてではないけれども、これが最も重要なものの一つとなる可能性がある、と語っている。

 WSJ紙(2)は、すでに価格競争に陥っている携帯電話業界に、新たな不安定さをもたらすものだとする。ただし、Google幹部のピチャイ氏は、このサービスは小規模の実験とするつもりで、現在の携帯電話業界を混乱させることを意図したものではない、と先月バルセロナで開かれた携帯電話のカンファレンスで語ったといいう。

 サービスの開始当初は、利用者は、応募者の中からGoogleが選ぶかたちとなり、利用できる端末も自社ブランドのNexus 6だけとなる。

 それでも、「Googleは大量の加入者獲得を目標にしていないかもしれないが、業界への参入は非常に重要です。Google Fiberが、ケーブル、ブロードバンド業界に変化を促したのとほぼ同じように、携帯電話業界を混乱に陥れる可能性があるからです」と、携帯電話産業に特化した投資銀行Rutberg & Companyの調査部門トップのRajeev Chand氏は同紙に語っている。「Google Fiber」は、Googleが一部地域で行っている先進的なインターネット接続サービスだ。

 Googleは、人々がより容易にインターネットにアクセスできるようにする取り組みを進めており、「Project Fi」はその一環だ、と同紙は説明する。ネット利用が増えれば、それだけ、Googleのサービスを使う機会も増えることが見込まれる、としている。

◆不振に悩むスプリントにとって新たなチャンス?
 「Project Fi」では、Wi-Fiを利用できない場合、スプリント、またはTモバイルUSの通信網を利用する。移動中でも、その場で最適な通信網にシームレスに切り替えるという。

 スプリントは、昨年8月にTモバイルUSの買収を断念した。その後、スプリント単独での営業は苦戦を強いられてきた。安価な料金プランを提示するTモバイルUSに顧客を奪われるなど、顧客の流出が続いた。株価も大きく下がった。2014年10月~12月期の決算では、21億3千万ドル(約2500億円)もの減損損失を計上した。

 スプリントの会長でもある、ソフトバンクの孫正義社長は、今年2月に行われたソフトバンクの決算説明会の質疑応答で、「スプリントについては、挑戦してみてその山の高さや険しさをあらためて痛感している」と語っている。

 スプリントとTモバイルUSの合併はかなわなかったわけだが、両社は、Googleへの通信網提供を通して、ベライゾンとAT&Tに対して共同で挑む、新たな機会を得たのかもしれない。USAトゥデイ紙は、無論、スプリントとTモバイルUSを合わせても、ベライゾンとAT&Tにはまだ遠く及ばないが、この2強こそ、Googleが今後戦う相手だ、とたきつけている。

 MVNOへの通信網の提供は、携帯電話事業者(キャリア)にとって良いビジネスだ、とWSJ紙(2)は語る。ユーザーが直接キャリアと契約した場合ほどには、収益は上げられないものの、低コストで高マージンが得られる、と説明している。スプリントは2014年末の時点で、MVNOに卸した回線数が1000万回線以上あったそうだ。

 スプリントの広報は、「わが社は(中略)100社以上の成功を収めているMVNOに力を与えてきました。Googleをサービスプロバイダとして携帯業界に参入できるようにすることを、喜ばしく思います」と声明で発表した。USAトゥデイ紙が伝えている。

◆しかし顧客がGoogleに持って行かれる可能性も
 けれども、スプリントとTモバイルUSが短期的に得るものが何であれ、携帯業界は激烈だ、とUSAトゥデイ紙は語る。両社は、サメを水槽の中に導き入れたのではないか、と疑問を呈している。

 通信業界アナリストのロジャー・エントナー氏は、「Googleは明らかに、全ての携帯電話事業者に圧力をかけることになります。それは、提携しようとしている2社も同じです。業界全体を巻き込む競争になります。現在スプリントやTモバイルUSと契約しているユーザーのかなりの数が、今後、『Project Fi』に深く興味を持つようになるだろうと思います」と同紙に語っている。

 WSJ紙(2)は、事情筋の情報として、スプリントはGoogleに自社の通信網を提供するという決断を、あっさりとは下さなかったと伝える。この決断は、孫会長のところにまで上げられた、とその人物は語ったという。また、前CEOのダン・ヘッセ氏もその決断に関わったという。2人とも慎重だったが、Googleが、このサービスが大きくなりすぎた場合に、再交渉の機会を与える量的制限に同意したためもあって、最終的に合意した、と伝える。

 前CEOが関わっているというのは示唆的だ。CEOがヘッセ氏からマルセロ・クラウレ氏に替わったのは、TモバイルUSとの合併を断念した直後のことだった。それ以前から、Googleとの提携話は進められていたのかもしれない。同紙は、Googleの携帯プロジェクトは、ほぼ2年間、準備が進められていた、とも伝えている。

(Newsphere編集部)

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