富士フイルムの薬が世界を救う? 投与されたフランス人患者が回復、退院

 スペインのマドリードで、エボラ出血熱患者治療チームの看護師から感染者がでた。この看護師は、リベリアとシエラレオネから搬送された患者の治療にあたり、感染した。アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱が、ついにアフリカ以外の地域でも感染者が出たことで、地球規模の脅威へと発展しつつある。

 そんな中、富士フイルムグループの抗インフルエンザ薬が希望の光となるかもしれないと、一気に世界的注目を集めている。

◆インフルエンザ薬に効果が?
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)によると、富士フイルムの薬が使われたのは、国境なき医師団の一員としてリベリアに赴任していたフランス人看護士だという。この看護士は、富士フイルムのグループ会社である富山化学工業のファビピラビル(商品名アビガン)を投薬し回復、10月4日に退院したとのことである。

 こうした報道を受け、富士フイルムの株価は7日の午前、一時3800円と2008年6月以来の高値をつけた。

◆明確な打つ手がない場合
 現時点でエボラに特効薬はない。そうした場合、医師は各種の薬を実験的に試してみるしかないのが難しいところである。

 ブルームバーグによると、やはりリベリアでの活動中にエボラウイルスに感染し、現在既に回復したアメリカ人のケント・ブラントリー医師兼宣教師と同僚の宣教師ナンシー・ライトボル氏には、マップ・バイオファーマシューティカル社の未承認薬ZMappが投与された。しかし治療にあたった医師は「同薬を使わなくても回復した者もいるし、この両氏はそれ以外にも手厚いケアを受けることができたため、ZMappが治癒の決め手になったとは断言できない」と述べている。

◆待たれる新薬
 『BIDNESS ETC』によると、米国立衛生研究所はエボラワクチンの開発に努めており、またTekmira Pharmaceuticals、BioCryst Pharmaceuticals、Sarepta Therapeuticsなどの各社も治療法を開発中とのことである。

 Tekmiraの『TKM-Ebola』はごく最近、エボラの蔓延が深刻なアフリカ地域での緊急使用について米食品医薬品局(FDA)に申請されたばかりだという。またSareptaは、特許技術をベースとした独自の抗薬を開発中で、すでに患者100人分の用意があることを先月発表しているという。

 今回フランスで使われた富士フイルムのファビピラビル(アビガン)は、アメリカでは抗インフルエンザ薬として最終検証段階にあり、まだ承認はされていないという。同社と提携する米メディベクターは、ファビピラビルをエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう、米食品医薬品局(FDA)に申請する意向とのことである。

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Text by NewSphere 編集部