モバイル事業も分離か? ソニー下方修正を受け、海外メディアがアナリストの分析を報道

 17日、ソニーはモバイル事業部門で減損処理を行うため、2015年3月期に2300億円の赤字を計上するとの見通しを発表した。2014年度第2四半期(7-9月)に1800億円の償却費用を計上する予定だ。

 同社はまた、1958年の上場以来初の無配を発表、モバイル事業の全従業員の約15%にあたる約1000人を削減する計画である。

【経緯】
 ソニーは2月、パソコン事業の売却とテレビ事業のスピンアウト(分社化)を発表していた。

 4~6月期連結決算は大幅な増益だったが、同時に今年度のスマホの販売台数が4300万台にとどまるとの見通しを示し、それまでの予想の5000万台から下方修正していた。

 そして今回、巨額損失に伴う大幅な業績の下方修正の発表となったのである。

【背景】
 ソニーのモバイル事業は、合弁パートナーだったスウェーデンのエリクソンから買い取ったものだが、世界的に苦戦を強いられている。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国では、韓国のサムスン電子と米アップルという2強の他に、ファーウェイやシャオミといった地場のスマホメーカーが台頭し、その後塵を拝しているという。

 米国市場もアップルとサムスンが支配している上に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、米携帯通信の上位2社、ベライゾン・ワイヤレスとAT&Tはソニーのスマホを販売していない。

【モバイル事業から撤退せず】
 日本のライバル企業の一部が携帯電話事業から撤退している中、ソニーは今回、スマホ事業の規模を縮小し、ハイエンドの顧客向け端末に絞る方針を示した。

 平井社長は、ソニーにとってモバイルは、いまだにゲームやイメージングと並ぶ重要な事業であり、ウエアラブル機器といったスマホ以外の市場にも積極的に参入できるようにしたいと述べたという。

【評価】
 各メディアは、シンガポールのジェフリーズでエレクトロニクス業界のアナリストを務めるアトゥル・ゴヤル氏の見方を紹介している。「これは賢明なCFOが経営陣の業容拡大意欲を制御できることを示している。経営陣の業容拡大意欲は、歯止めがきかないと、より大きな損失につながる可能性がある」。

 一方、リサーチ会社のマネジングディレクター、ペラム・スミザーズ氏は、家電の大手プレイヤーとしてのソニーにかげりが見えてきた(ニューヨーク・タイムズ紙)、かなりショッキングな減損処理額で、ソニーがモバイル事業を分離する予兆かも知れない(フィナンシャル・タイムズ紙)と見る。

 フィナンシャル・タイムズ紙はまた、ソニーはソフト中心に舵を切れば今以上の収益を確保できるだろうに、という投資家たちの見方も伝えている。

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Text by NewSphere 編集部