2ヶ月もつ無菌レタス!?  富士通、東芝…野菜工場で栽培 海外紙も注目

 テレビやスマートフォンなどの分野で韓国や中国のライバル相手に苦戦する日本の電機大手が、植物工場を開設し、農業ビジネスに進出している。光や温度などを人工的に制御して野菜を栽培する植物工場は、海外のメディアからも注目も集めている。

【クリーンルームがレタス栽培工場に】
 富士通は2009年、福島県会津若松市にある富士通の工場に3つあったチップ生産ラインの1つを廃止した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、かつてハイテク機器の頭脳を組み立てていた清潔でほこりのないクリーンルームは、レタス栽培工場に生まれ変わった。

 レタスは微生物のいない場所で育つため、普通のレタスよりずっと長持ちし、冷蔵すれば最大で2カ月もつ。「輸出するときに競争力になる」と同紙は報道している。

 富士通の植物工場は、カリウムを体外排出できない腎臓病の高齢者のために、カリウムの含有量が少ないレタスを作ることができる。

 イギリスのメディア『IMechE』によると、東芝は、神奈川県横須賀市の電気工場を、レタスやホウレンソウを育てる植物工場に改装した。成長環境を注意深く管理し、ポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれる機能性野菜を栽培する計画である。

 海外メディア『fareastgizmos』は、宮城県に位置する世界最大の植物工場『未来』について報道している。『未来』は、最先端のLEDシステムを利用し、従来の植物工場に比べ生産量は1.5倍である。毎日10,000個のレタスの生産が可能であるが、従来と比べ、電気使用量は40%少ない。

 【食糧危機を解決できるか】
 植物工場に対する関心は海外ユーザーの間でも高まっている。ソーシャルメディア『Reddit』には以下の様な意見が寄せられている。

・トウモロコシや穀物を栽培できたら、飢餓状態にあるアフリカやアジアの人々を助けられる。
・問題は費用だ。大規模農業と競争できるならブームになるが、そうでないなら、ニッチ市場にすぎない。
・レタスが消費者の近くで生産されるので輸送費が最小限に抑えられ、毎日収穫できるので、保存費も最小化される。
・保存料や殺虫剤が少ない。健康的で新鮮。需要をもとに栽培を調整できるので、売れ残り損を最小化できる。

【政府の後押し】
 安倍政権は大手企業による農業ビジネスの参入を奨励している。富士通の植物工場は、当初、福島の復興を支援する計画から資金援助を得た。最近になって、日本政府は最先端農業に関する補助金の対象を全国に拡大した、とWSJ紙は報道している。富士通のようなハイテク手法を使った工場は過去3年間で4倍以上に増え、380ヶ所以上に上る。

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Text by NewSphere 編集部