任天堂・ドコモ、3DS向けテザリングアプリ開発 伸び悩む大企業の連携、と海外ユーザー冷ややか

 任天堂は15日、NTTドコモと共同開発したアプリ「かんたんテザリングfor 3DS」の配信を開始した。アプリは、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を、ドコモのスマートフォンのテザリング機能を利用して、簡単にインターネット接続できるというものだ。

「かんたんテザリング」は、Google Playストアと、NTTドコモのスマートフォン向けポータルサイト「dメニュー」で入手可能だ。まずは15日発売のサムスン製スマホ「Galaxy S5」で利用することができるようになる。

【誰でも簡単にネット接続】
「かんたんテザリング」は無料で配信されるが、利用すると課金される。Wi-Fiの接続設定を簡単に行えるWPSを使い、テザリングやワイヤレスの接続に不慣れな人にも簡単に使うことができると両社は説明している。一度接続の設定を済ませば、次回からはテザリングモードを選択するだけだ。

「かんたんテザリング」を利用すれば、3DSユーザーが容易にネット環境を獲得できるだけではなく、過去のゲーム機のゲームソフトをWii上で再現した「バーチャルコンソール」を無料でもらえるアンケート(7月から9月30日まで)にも参加することができる。

【任天堂の今後の展開はどうなるのか?】
 今回発表されたアプリは、任天堂がしぶしぶスマートフォンやタブレット端末普及の流れに乗ったものだ、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。Wii Uの売れ行き不振の後、任天堂はスマホなどの携帯機器に対応したゲームの制作を模索しているという。

 任天堂の岩田聡社長は、スマホやタブレット端末に対応したゲームを制作するということは、同社のゲーム機本体の事業を危機に追いやるだけでなく、新しいゲーム機の構想を練る力を徐々に削ぐことになりかねない、と繰り返し発言している。また、任天堂の広報は、「かんたんテザリング」は、あくまでドコモの商品で、任天堂初のアプリという見方を否定しているようだ。

 任天堂は今後、「正式な」携帯アプリを今年の末に配信開始予定だ。これによって任天堂が、スマホやタブレット端末を利用しての新しいユーザー獲得のため、どのような方向性を示すかわかるだろう、と同紙はみている。一方で、ゲーム機を売るためにゲームを開発するというこれまでの経営方針にも忠実であり続けるだろう、とも予想している。

 岩田氏は、「スマホなどの携帯端末を積極的に利用していくつもりだ。しかし、そのためにゲーム機が先細りになるという考えは持っていない」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と話した。

 アジアのテクノロジー関連ニュースブログ『テック・イン・アジア』は、アプリは任天堂にとって初の試みとなるが、ゲームではなくユーティリティーであるため、大げさに騒ぐほどのことはない、と冷静だ。

【古株会社どうしの助け合い】
 米大手ソーシャル・ニュース・サイト『レディット』には次のようなコメントが寄せられた。

・「ストリートパス(近くにある3DSを探し出し通信する3DSの機能)」のほうがだいぶ良さそうだ。
・「ストリートパス」とは全然違うと思うよ。自宅でのネット環境にすごく近い感じになるんじゃないか。

・任天堂がネット利用のいろいろな制限を回避するアプリを本当に作ることができたのか、すごく疑わしいよ。
・NTTドコモとの共同開発だから、大丈夫じゃない?

・ポケモンブラック・ホワイトを学校の休み時間にwifiを使ってスマホで遊んでる。このアプリで今以上にどんなことができるようになるのか思いつかないな。

・今回のアプリ開発は、古い企業が、もうひとつの古い企業を支えるためにやったって感じだね。任天堂は、大好きだけど、ゲーム機市場の不振で事業に大金を費やしてもうまくいっていない。ドコモは最近までiPhoneの発売をしなかったことで、多くの契約者を失った。もはや両者ともそれぞれの分野でトップの企業とは言えない。でも、偉大な歴史を持つし、一緒に組むことで、力を取り戻そうとしているんだろうね。

ぼくは任天堂信者 [amazon]

Text by NewSphere 編集部