日本は飽和? ユニクロ海外展開急加速、米メディアは好意的に報道

 ユニクロを経営するファーストリテイリングは10日、2月までの上半期決算と8月までの通期見通しを発表した。上半期売上は7,643億円で前年同期比24.3%増、通期売上見通しは1.32兆円から1.37兆円に上方修正されるなど、売上は好調であったが、上半期純益は645億円で1.4%減、通期純益見通しは920億円から880億円に下方修正となった。880億円なら3年ぶりに前年実績から2.6%減となる。ブルームバーグのアナリスト予想は平均945億円であった。

【国内のマイナス材料】
 ユニクロ事業は現時点では国内が主力であるが、上半期営業利益が国内では702億円で1.8%増なのに対し、海外では280億円で、75%増におよぶ。このため各紙は、今後海外市場の重視が一層強まると見ている。

 ブルームバーグは、同社が下期の国内販売減速や、労働・交通・倉庫のコスト増を予想していると報じた。日本のユニクロのパートタイマー1万6千人はフルタイム契約に切り替えられる予定であり、消費税増税後の消費動向も不安材料である。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「飽和した日本市場でより多くの広告を掲載し、大きな割引を提供することを余儀なくされた」と分析している。柳井正CEOは「私どもは日本での経営の仕方すべてを180度、変えようとしております」と述べ、画一的なフランチャイズ形式から、店舗の地域密着化のため店長の裁量を強化する考えを示した。

【猛烈な海外拡大】
 各紙は2020年までに世界最大の衣料小売業者を目指すという「柳井の野望」に言及し、海外での新店舗開拓や既存ブランド買収のハイペースぶりを報じた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、計画では8月まで、平均して週3~4軒の新店舗をオープンするという。中国・香港・台湾では、現在の325店舗を年80~100店舗拡大し、10年以内に1,000店舗とする。米国でも数年以内に東西両海岸で100店舗という目標に向け、年20~30店舗をオープンする。来週にはメルボルンに初のオーストラリア店がオープンする。

 また、米Jブランドジーンズや仏コントワー・デ・コトニエなどのブランドも買収している。ただ米Jクルー・グループを50億ドルで買収する計画は、失速しつあるようだ。

【ユニクロの色違い戦法】
 ヤフーファイナンスは、米ユニクロのラリー・メイヤーCEOやその店舗状況を好意的に紹介した。メイヤーCEOは、「最高幹部を探して、マクロ経済学、店舗の交通、天候について尋ねるだけ」で小売チェーンの先行きが判ると説く筆者の定説に反して、「あらゆる優良セールスマンと同じく、他の人が問題と見るところを機会と見て」おり、経済状況・立地条件・天候状況といった逆風を言い訳にしないという。

 ユニクロ店舗はコストカットのため商品の種類数を減らし、代わりに色や模様のバリエーションで勝負する。「ユニクロは、スタイルは少ししかないが、4足パック12.95ドルで販売しているスーピマ綿のミドル丈ソックスに焦点を当てている。退屈な話に聞こえるだろう。50種類の色から選べると判るまでは」と記事は書いている。そして客は他の店に行く気がしなくなる、とのことだ。

 ただしその戦略を成立させるためには現場店舗の管理能力が重要であり、ユニクロは才能ある従業員の確保において、ライバルチェーンと競合を強めていくだろうという。

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Text by NewSphere 編集部